金融市場NOW
GPIFがESG投資開始(選別投資の存在感増す)
2017年07月13日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
公的年金、女性活躍や環境など重視
- GPIFが、環境や企業統治を重視した企業を選ぶESG投資の運用を開始したと発表。
- 最大の公的年金によるESG投資の開始にともない、幅広い投資家がESG投資に傾斜を強めれば、ESG投資の普及に弾みがつくことも期待される。
株式市場において、環境への対応や企業統治などに優れた企業を選ぶ「ESG(環境・社会・ガバナンス)投資」の存在感が、今後増してきそうです。
公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、7月3日、環境や企業統治などを重視した企業を選ぶESG投資の運用を開始し、3兆円を投じると発表しました。6月までにすでに1兆円を投資しており、3~5年かけて増やしていく見込みです。最大の公的年金の運用開始により、他の投資家が追随する動きが広がりそうです。
GPIFは2016年からESG投資のための株価指数を公募しており、このほど、米指数算出会社MSCIと英FTSEが作った指数を3つ選びました。内訳は、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)のESG全般を考慮に入れた「総合型」指数2つと、社会(S)のうち女性活躍に着目した「テーマ型」指数1つです(図1)。現在、環境(E)に優れた企業に特化した指数を選定中であるほか、外国株においてもESG投資を始める方針です。
企業のESGに対する取り組みを材料に、企業の持続性を重視した投資は欧米で普及しており、投資規模は2,000兆円を超えています。欧米では、アルコール飲料やたばこ製造会社などの特定企業を除いて投資する例は多いものの、GPIFのように独自に指数を作り評価の高い企業に1兆円規模で投資する例は珍しいようです。
世界のESG投資額は20兆ドルを超え、約9割が欧米とされています(グラフ1) 。今後、幅広い投資家がESG投資への傾斜を強めれば、欧米に比べ規模面などで遅れている国内のESG投資の普及にも弾みがつくかもしれません。
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