金融市場NOW
米国の家計債務残高増加
2017年06月19日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
米国の家計債務残高が増加 学生ローンの割合が上昇
- 米国の家計債務残高がリーマン・ショック時の水準を上回る水準まで増加。特に学生ローンが自動車ローンに匹敵する割合まで上昇。
- リーマン・ショック後、債務の延滞率は低下傾向にあったものの、直近では横ばいから上昇傾向へ。
- 今後も利上げが見込まれる中、好調な米国経済へ悪影響も。
2017年3月末時点の米国家計の債務残高が12兆7,250億ドルに達し、リーマン・ショック時(12兆6,750億ドル)を上回る水準となりました。債務の内訳は住宅ローンが8.6兆ドルと債務全体の約7割を占めており最大ですが、自動車ローン(1.2兆ドル)、カードローン(0.8兆ドル)、学生ローン(1.3兆ドル)なども増加しています。中でも学生ローンは自動車ローンを上回る額まで増加しており、ローン全体に占める割合はリーマン・ショック当時には4.8%程度だったものが10.6%まで上昇しています(グラフ1)。
自動車ローン全体のクレジットスコア(信用度を示すスコア:低いほど信用度が低い)別データを見ると、スコア620未満の信用度の顧客への貸し出しがリーマン・ショック後は低下したものの、徐々に上昇傾向を示しています(グラフ2)。債務返済の延滞率を示すデータでは、リーマン・ショック以降低下傾向にあった延滞率は横ばいから上昇傾向へ転じつつあります(グラフ3)。ローンタイプ別の滞納者データでは、学生ローンや自動車ローン、クレジットカードローンが上昇傾向にあります。中でも学生ローンでは、学費の上昇に伴いローン残高も増えており、多額のローンを抱えて大学を卒業するなど、デフォルト(債務不履行)を経験する卒業生も一定程度出てきており、社会問題化しつつあるようです(グラフ4)。
堅調な経済指標をうけ、今後も利上げが見込まれる米国では今後金利が上昇し、返済負担が増せば延滞率の上昇やデフォルトが増加する可能性もあり、消費面など好調な米国経済にマイナスの影響を及ぼすことも考えらえます。
金融市場動向
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