金融市場NOW

日本国債 中国の購入急増

2016年11月10日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

米利上げを見越し資金移動

  • 中国が日本国債の購入を急増させており、2016年1月~8月までの買越額はおよそ9兆円となった。
  • 継続的な米国の利上げを見越し、米国債から日本国債へ資金シフトか。
  • 中国の購入は短期債が中心であり、今後の金融情勢の変化に応じて柔軟に資金をシフトできる状態。

中国が日本国債の購入を急増させているようです。2016年1月~8月の買越額はおよそ9兆円となり、前年同期の3倍にまで膨らんでいます。米国の利上げを見越し、中国人民銀行(中央銀行)が米国債の保有高を減らし、一部の資金を日本国債に回している可能性が高いとみられています。

財務省の対内証券投資によると、中国から日本国内への証券投資は今年1月から8月までで8兆9,000億円の買い越しとなりました。月単位の買い越し額は増加傾向にあり、4月は単月で3兆円強に達しました(グラフ1)。増加しているのは、証券の中でも満期までの期間が1年以下と短い国庫短期証券などの国債が中心(買越額約9兆円のうち約66%が短期債)となっています。中国では、外債投資の規制が厳しいことから、日本への証券投資の大部分は中国人民銀行によるものとみられています。一方、米財務省のデータによると、中国は米国債の保有残高を今年1月から8月までに約5兆円減らしています。中国は米国債から日本国債に資金を移しているようです(グラフ2)。中国は世界最大の米国債保有国であり、昨年12月に始まった米利上げが今後も継続すれば、保有する米国債の価格下落(利回りは上昇)が進むとの見通しから、米国債を減らしているものと思われます。

中国による日本国債の購入は短期債が中心です。金融情勢の変化に応じて柔軟に資金をシフトできる状態にあるようで、今後も大規模な購入が継続するかは不透明です。

グラフ1:昨年末より中国による日本国債の買越額が急増

昨年末より中国による日本国債の買越額が急増
※中国から日本への日本国債の投資額の推移
出所:財務省のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:利上げを見越し、米国債保有残高は減少

利上げを見越し、米国債保有残高は減少
※中国の米国債保有残高の推移
出所:米国財務省のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

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