金融市場NOW

IMF世界経済見通し(2016年10月時点)

2016年10月11日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

日本 0.5%成長に上方修正

国際通貨基金(IMF)は10月4日に発表した最新の世界経済見通しで、2016年の世界経済成長率(前年比)見通しを3.1%とし、今年7月の予測を据え置きました。米国の景気減速と英国の欧州連合(EU)離脱支持という国民投票結果を受け、世界経済成長は引き続き抑制された状態が続くとの見通しを示しました。2017年は主に新興市場国・地域によりけん引され、2016年より成長率は高まるものの、不確実性が残るとして前回予想の3.4%のまま据え置きました。

先進国の2016年の成長率見通しは1.6%と、0.2ポイント下方修正されました。米国は、大統領選などによる先行き不安が設備投資を下押ししているとの懸念などから0.6ポイントの大幅な引き下げとなりました。

日本は消費増税の延期や経済対策が考慮されて2016年は0.5%、2017年は0.6%とともに上方修正されました。日銀が掲げる物価上昇率2%の目標達成を後押しするため、企業に賃上げを促す所得政策の拡充を求めるとともに、消費税率の段階的な引き上げも課題に挙げられました。

英国については、2016年が0.1ポイント上方修正したものの、2017年は0.2ポイント下方修正されました。今回の試算はEU離脱交渉が円滑に進んだケースを前提としているため「長期的には不確実性が高い」とも指摘されています。

表1:IMF世界経済見通し(前年比)

2016年10月時点

単位:%
*1 インドは年度ベース
*2 インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム
*3 オーストラリアは2016年4月時点との比較
出所:IMFのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
  2015年(前年比) 見通し(前年比) 前回(2016年7月時点)との比較
2016年 2017年 2016年 2017年
世界 3.2 3.1 3.4 0.0 0.0
先進国 2.1 1.6 1.8 -0.2 0.0
日本 0.5 0.5 0.6 0.2 0.5
米国 2.6 1.6 2.2 -0.6 -0.3
ユーロ圏 2.0 1.7 1.5 0.1 0.1
ドイツ 1.5 1.7 1.4 0.1 0.2
フランス 1.3 1.3 1.3 -0.2 0.1
イタリア 0.8 0.8 0.9 -0.1 -0.1
スペイン 3.2 3.1 2.2 0.5 0.1
英国 2.2 1.8 1.1 0.1 -0.2
カナダ 1.1 1.2 1.9 -0.2 -0.2
新興国 4.0 4.2 4.6 0.1 0.0
中国 6.9 6.6 6.2 0.0 0.0
インド *1 7.6 7.6 7.6 0.2 0.2
ASEAN5 *2 4.8 4.8 5.1 0.0 0.0
ブラジル -3.8 -3.3 0.5 0.0 0.0
ロシア -3.7 -0.8 1.1 0.4 0.1
オーストラリア *3 2.4 2.9 2.7 0.4 -0.3

グラフ1:主要先進国の経済見通し(前年比)

主要先進国の経済見通し(前年比)グラフ
出所:IMFのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:主要新興国の経済見通し(前年比)

主要新興国の経済見通し(前年比)グラフ
出所:IMFのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

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