金融市場NOW

基準地価 全国商業地が9年ぶりにプラスへ

2016年09月27日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

大都市商業地の地価上昇ペースが加速

  • 国土交通省が発表した2016年7月1日時点基準地価※の全国商業地が9年ぶりに上昇。
  • 近年の訪日客の増加により、ホテルや商業施設の収益性が高まったことが要因か。
  • 不動産取引額は前年に比べ減少しており、足元では不動産市況のピークアウトも懸念されている。
  • 都道府県が不動産鑑定士の評価をまとめた毎年7月1日時点の土地の価格。民間企業などの土地取引の指標となる。

国土交通省が9月20日に発表した2016年7月1日時点の基準地価は、全国商業地が0.005%のプラス(前年比)とわずかながら9年ぶりに上昇となりました。上昇が目立つのは地方の中核都市で、札幌、仙台、広島、福岡の主要4都市の商業地上昇率は6.7%と三大都市圏の2.9%を大きく上回りました(表1)。商業地の地価がマイナス圏から脱したのは、景気回復を背景にオフィス需要が堅調に推移したことや、訪日客が増加しホテルや商業施設の収益性が高まったことなどが要因とみられています。商業地が上昇した都道府県は前年の12から15に増加しました。

国債等の金利が低下し、利回りを求める投資資金が地方の不動産に向かっているようです。札幌などの中核地方4市の商業地の上昇率は9年ぶりの大きさとなり、東京圏や大阪圏を上回りました。また、訪日客に人気のある京都市や北陸新幹線開業効果が続く金沢市でも2割を超す上昇地点があり、東京のみならず地方の主要都市でも地価の上昇ペースは加速しています(グラフ1、表2)。

しかし今後は、景気の先行き不透明感等を背景に、不動産価格の調整が起こる可能性もあるとみられています。不動産取引額も前年の同時期に比べて2割ほど減少し、足元では不動産市況のピークアウトも懸念されているため、今後の動向について注視していく必要があるかもしれません。

表1:全国商業地の基準地価は9年ぶりに上昇

単位:%

* カッコ内は前年。 ※地価変動率の推移(前年比)
出所:国土交通省のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
    住宅地 商業地 全用途
全国 ▲0.8(▲1.0) 0.005(▲0.5) ▲0.6(▲0.9)
三大都市圏 東京圏 0.5(0.5) 2.7(2.3) 1.1(1.0)
大阪圏 0.0(0.0) 3.7(2.5) 0.8(0.6)
名古屋圏 0.5(0.7) 2.5(2.2) 1.1(1.1)
地方圏 ▲1.2(▲1.5) ▲1.1(▲1.6) ▲1.2(▲1.5)
地方4市 2.5(1.7) 6.7(3.8) 4.0(2.4)

グラフ1:地方4市の勢いが加速

地方4市の勢いが加速グラフ
出所:国土交通省のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

表2:地方都市の上昇率が目立つ(全国商業地の上昇率上位5位)

出所:国土交通省のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
順位 住所 上昇率 主な理由
1 名古屋市中村区椿町1-16 32.30% 再開発でオフィスや店舗需要が旺盛。
2 名古屋市中村区名駅3-26-6 32.00% ホテル需要が顕在化。
3 大阪市中央区南船場3-5-11 28.90% 訪日客消費が旺盛で店舗需要が伸びる。
4 大阪市浪速区日本橋3-6-2 28.10% 訪日客が増え、ホテル需要が高まる。
5 名古屋市中村区椿町13-16 28.00% 再開発でオフィスや店舗需要が旺盛。

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