金融市場NOW
消費減少 育児世帯ではより深刻に
2016年08月10日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
28兆円規模の経済対策に期待高まる
政府は8月2日の臨時閣議にておいて、事業規模28兆1,000億円の『未来への投資を実現する経済対策』を決定しました。働き方や産業構造の一体改革に取り組み、成長力を底上げする方針です。
同日に公表された『経済財政白書』では、賃金や雇用の改善に比べて個人消費が弱く、景気回復を遅らせる要因となっていると指摘しています。消費動向を世代別にみると、特に「(若年)子育て期世帯」は所得が増加しても消費が伸びない傾向が強いようです(グラフ1)。非正規社員であることが多く、また教育資金など子育てに多額の出費を迫られ、将来不安による節約志向の強さが背景にあるとみられています。白書は保育料や教育資金の負担を和らげるとともに、非正社員の待遇を改善し、正社員との格差を是正する政策の導入を求めています。
経済対策の柱のひとつは『働き方改革』です。子育てや介護の受け皿整備、保育士や介護職員の賃上げを進めることで子育てや介護を抱える人たちが働きやすい環境を整えていくようです(表1)。一過性の対応になっていた過去の反省を踏まえ「2016年度の補正予算に加えて、2017年度当初予算に計上し、かつ継続して実施する」と明記されました。また、同一労働同一賃金の実現や長時間労働の是正など労働制度改革に取り込む方針も盛り込まれました。
今回の経済対策は第2次安倍政権発足以来最大規模となり、GDP(国内総生産)を実質で1.3%程度押し上げることが見込まれています。
グラフ1:可処分所得に占める消費支出の割合

表1:経済対策の主なメニュー
実質GDP | ||
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働き方 | 【子育て】 |
|
【仕事のメリハリ】 |
|
|
【若者の育成】 |
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【消費底上げ】 |
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産業構造 | 【第4次産業革命】 |
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【TPPへ農業強化】 |
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インフラ整備 | 【リニア中央新幹線】 |
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【訪日客】 |
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【海外展開】 |
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金融市場動向
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