金融市場NOW
貿易収支が大幅改善へ
2016年04月27日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
原油安が追い風
財務省が4月20日に発表した2015年度の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1兆792億円の赤字となりました。原油安で燃料の輸入額が減ったこと等から、赤字額は2014年度の9兆1,277億円から8兆円超(約88%)減少しました。
貿易収支の赤字は、東日本大震災の影響があった2011年度以降5年連続です。しかし、過去最大の赤字となった2013年度(13兆7,563億円)からは2年連続で赤字額が縮小し、改善傾向が続いています(グラフ1)。
また、月次ベースでみても2016年2月に貿易黒字に転換したのに続き、3月は黒字幅が7,550億円と前月の約3倍に大きく増加しています。震災後の原発停止の影響で原油などの輸入が増加していたものの、昨今の原油安により収支が改善しています。
対国・地域別の輸出額(前年度比)をみると、自動車の輸出が好調だった対米国は6.2%増加したものの、対アジアは、中国経済の減速等により2.8%減少しています(表1)。
財務省は、赤字幅の縮小について、「輸出が強かったわけではなく、資源関連の輸入額が大きく減ったことが要因」とみています。
表1:国・地域別の貿易収支(2015年度)
(単位:億円)
輸出額 | 輸入額 | 差引額 | |
---|---|---|---|
米国 | 150,932(6.2%) | 78,694(2.3%) | 72,238(10.8%) |
EU | 81,035(5.2%) | 87,291(8.0%) | -6,257(63.2%) |
アジア | 391,976(-2.8%) | 372,699(-3.4%) | 19,277(11.1%) |
中国 | 130,023(-3.1%) | 190,648(-0.6%) | -60,625(5.1%) |
中東 | 30,902(0.8%) | 84,950(-39.1%) | -54,047(-50.3%) |
総額 | 741,173(-0.7%) | 751,964(-10.3%) | -10,792(-88.2%) |
今後の動向
一時、1バレル30ドルを下回っていた原油(WTI原油先物)価格は、足元40ドルを上回る水準まで上昇しており、今後は貿易収支の改善ペースが鈍る可能性があります。
貿易赤字が再び拡大基調となれば、年初からの円高の動きに変化が生じることも考えられます。
金融市場動向
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