金融市場NOW
IMF世界経済見通し(2016年7月時点)
2016年07月26日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
2016年の世界経済成長率を3.1%に引き下げ
国際通貨基金(IMF)は7月19日に改定した世界経済見通しで、英国の欧州連合(EU)離脱決定で「不透明感が増した」との判断から、2016年の世界経済成長率(前年比)を前回予想(2016年4月時点)より0.1ポイント下方修正し、3.1%としました。6年ぶりの低成長となった2015年と同じ水準まで引き下げています。IMFが2016年見通しを下方修正するのは4四半期連続となります。今後の英国のEU離脱の影響次第では、成長率は2.8%まで減速する可能性があると警告し、各国に成長底上げ策を求めています。また、2017年の成長率見通しも前回予想の3.5%から3.4%に引き下げています。
英国については、2016年が0.2ポイント、2017年は0.9ポイントそれぞれ下方修正され、いずれも1%台の低い伸びになると予想しています。EUとの離脱交渉が難航すれば下押し圧力が強まると指摘しています。
ユーロ圏については、2016年の見通しを0.1ポイント引き上げて1.6%とする一方、2017年は0.2ポイント引き下げて1.4%としています。
日本の2016年の成長率は、円高の影響等により前回予想より0.2ポイント下方修正され0.3%となっています。2017年については、消費増税の延期が上振れ要因になるものの、円高の影響等で0.1%にとどまるとみられています。なお、「2016年度の補正予算が成立すれば、2017年の成長率は上振れする」ともみています。
インドの成長率は、2016年、2017年とも中国を上回ると見込まれています。原油や一次産品の価格が持ち直していることから、ブラジルとロシアの景気後退は前回予想ほどは深刻でないとされ、両国とも2017年にはプラス成長に復帰する見通しとされています。
表1:IMF世界経済見通し(前年比)
(2016年7月時点)
2015年(前年比) | 見通し(前年比) | 前回(2016年4月時点)との比較 | |||
---|---|---|---|---|---|
2016年 | 2017年 | 2016年 | 2017年 | ||
世界 | 3.1 | 3.1 | 3.4 | -0.1 | -0.1 |
先進国 | 1.9 | 1.8 | 1.8 | -0.1 | -0.2 |
日本 | 0.5 | 0.3 | 0.1 | -0.2 | 0.2 |
米国 | 2.4 | 2.2 | 2.5 | -0.2 | 0.0 |
ユーロ圏 | 1.7 | 1.6 | 1.4 | 0.1 | -0.2 |
ドイツ | 1.5 | 1.6 | 1.2 | 0.1 | -0.4 |
フランス | 1.3 | 1.5 | 1.2 | 0.4 | -0.1 |
イタリア | 0.8 | 0.9 | 1.0 | -0.1 | -0.1 |
スペイン | 3.2 | 2.6 | 2.1 | 0.0 | -0.2 |
英国 | 2.2 | 1.7 | 1.3 | -0.2 | -0.9 |
カナダ | 1.1 | 1.4 | 2.1 | -0.1 | 0.2 |
新興国 | 4.0 | 4.1 | 4.6 | 0.0 | 0.0 |
中国 | 6.9 | 6.6 | 6.2 | 0.1 | 0.0 |
インド *1 | 7.6 | 7.4 | 7.4 | -0.1 | -0.1 |
ASEAN5 *2 | 4.8 | 4.8 | 5.1 | 0.0 | 0.0 |
ブラジル | -3.8 | -3.3 | 0.5 | 0.5 | 0.5 |
ロシア | -3.7 | -1.2 | 1.0 | 0.6 | 0.2 |
オーストラリア *3 | 2.5 | 2.5 | 3.0 | - | - |
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