金融市場NOW
国内貸出金利が一段の低下
2016年06月02日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
3月の銀行の新規貸出金利が過去最低を更新
低下傾向を続けている国内銀行の貸出約定平均金利(以下:貸出金利)が、日本銀行が実施したマイナス金利政策により、一段と低下しています。5月24日に日銀が公表した3月の新規の貸出金利は0.69%と過去最低を更新しました(グラフ1)。特に金利低下が目立つのは地方銀行であり、2月から3月にかけての1ヵ月の低下幅(0.256%)は1995年5月以来約21年ぶりの大きさとなりました。大手銀行と比べて中小企業や住宅ローンへの融資比率が高いことが影響していると考えられます。
金利低下は企業向け融資にも波及してきているようです。3月日銀短観によると、金融機関の融資態度が「緩い」と答える企業が増えています(グラフ2)。業態別の貸出残高の伸び率の推移を見ると、中小・中堅企業向けと住宅ローンが中心となる個人向けが比較的安定して増加しており、3月末時点の伸び率はいずれも大企業の1.2%を上回っています(グラフ3)。業種別で見た場合、目立つのは不動産業であり、2014年3月以降から継続して上昇しており、2016年3月末時点の伸び率は6.3%と2007年6月末(11.3%)以来の高水準となっています(グラフ4)。
今後、貸出金利の低下が企業の設備投資意欲や、個人の住宅購入意欲の向上等につながるか、注目されます。
金融市場動向
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