金融市場NOW
2015年9月末 日本国債の業態別/業種別保有状況
2016年01月14日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
日銀と外国人投資家の保有比率 上昇傾向が続く
外国人投資家の保有額が増加した背景には、安倍政権による構造改革期待に加え、以下のような点があるものと思われます。
- 日本国債の発行残高約1,040兆円の保有トップは日銀で、金額は約315兆円、保有比率は30.3%。異次元緩和開始前の2013年3月末に比べ、約187兆円の増加。構成比は17.1%拡大。2016年も年間約80兆円の長期国債の買入れが行われる予定であり、保有比率は更に高まるものと思われます。
- 外国人投資家の保有額が約102兆円と、初めて100兆円を超えました。保有比率は9.8%と2桁に迫っています。異次元緩和開始前に比べると約20兆円増加しています。
- 公的年金の保有額は約52兆円と、異次元緩和前に比べると約17兆円の減少。GPIF(年金積立金運用管理独立行政法人)による運用資産構成変更(債券から株式への比重シフト)(※)の影響を受けています。
- 2015年9月末時点の国内債券(国債以外含む)の保有額は約53兆円と、異次元緩和前に比べて約22兆円減少。
外国人投資家の日本国債の保有額増加について
2015年12月17日に日銀より、2015年9月末の日本国債の業態別/業種別保有残高と保有比率が発表されました。主な内容や特徴は以下の通りです。
- ECB(欧州中央銀行)の量的金融緩和策による欧州の国債金利の低下等により、日本国債の投資妙味が高まった。
- FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ等によるドル需要の引き締まりから、ドルの調達コストが上昇。その結果、ドルを使った円資金調達コストが下がり、低金利の日本国債でも以前より利益を出しやすくなった。
- 日銀の年間約80兆円の買入れが市場を下支えするとの期待感が高まった。
上記の通り、外国人投資家の買いは欧米中銀の金融政策に支えられている面もありそうです。また、増加した保有額約20兆円の内、約半分は満期までの期間の短い国庫短期証券(TB)です。外国人投資家は、資金を一時的に日本国債に退避させている可能性もあります。
外国人投資家の保有比率は、2003年9月末の2.7%を底に2015年9月末には9.8%まで上昇しており、影響度も大きくなっています。主要国の金融政策の方向性や日本の構造改革の進展具合等によっては資金の流れが変わり、日本国債の値動き(金利の変動)が大きくなることも考えられます。
表1:日本国債の業態別/業種別保有構成変化
2013年3月末 | 2015年9月末 | 増減幅 (2-1)* |
増減率 (2/1)** |
|||
---|---|---|---|---|---|---|
金額1* | 比率** | 金額2* | 比率** | |||
金融機関 | 769 | 79.3 | 845 | 81.2 | 76 | 9.9 |
(内)日銀 | 128 | 13.2 | 315 | 30.3 | 187 | 146.3 |
(内)保険・年金基金 | 225 | 23.2 | 234 | 22.5 | 9 | 3.8 |
一般政府・公的金融機関 | 84 | 8.7 | 70 | 6.7 | -14 | -17.0 |
(内)公的年金 | 69 | 7.1 | 52 | 5.0 | -17 | -24.0 |
家計 | 24 | 2.5 | 14 | 1.4 | -10 | -40.2 |
外国人投資家 | 82 | 8.5 | 102 | 9.8 | 20 | 23.9 |
その他 | 11 | 1.1 | 10 | 0.9 | -1 | -12.3 |
合計 | 970 | 100.0 | 1,040 | 100.0 | 70 | 7.3 |
金融市場動向
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