金融市場NOW
一億総活躍プラン原案固まる
2016年05月12日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
非正規雇用の賃金を早急に欧米並みに引き上げ
政府が「アベノミクス」の新たな柱となる「ニッポン一億総活躍プラン」の原案を固めました。原案は、主に4つの項目で構成されています(表1)。「同一労働同一賃金」(同一の仕事に従事する者は皆、同一の賃金が支払われるべきとの概念)をめざし、非正規雇用の賃金を正規の7~8割程度まで早急に引き上げ、欧州並みにする目標が明記されています。
日本のフルタイム労働者に対するパートタイム労働者の賃金は約57%(2013年)で、フランスやドイツをはじめとする欧州各国の水準と比較しても大きな差があります(グラフ1)。また、日本のパートタイム労働者の比率は増加傾向にあり、2015年にはおよそ30%程度にまで上昇しています。近年では、非正規雇用者数に占める女性の割合は約70%近くにのぼり、雇用者数も年々増加しています(グラフ2)。
政府は、「パートタイム労働法」や「労働契約法」等の改正に乗り出し、社員の技能などを給与に反映しやすくし、正規雇用と非正規雇用の不合理な格差を防ぐべく、待遇改善に乗り出す見込みです。
個人消費は2014年4月の消費増税をきっかけに大きく落ち込み、その後も低迷していますが、その要因の一つに給与所得の伸び悩みがあるものと考えられます。雇用者全体の約30%を占めるパートタイム労働者の賃金の改善は、購買意欲を高め、消費を活発化させる要因になる可能性もあります。今後、賃金上昇→消費拡大→企業業績拡大(雇用拡大・設備投資拡大)→賃金上昇という経済の好循環をもたらすきっかけとなるのか注目されます。
表1:一億総活躍プラン原案のポイント
同一労働同一賃金 |
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長時間労働の撲滅 |
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高齢者雇用の促進 |
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スポーツの 成長産業化 |
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既存住宅流通・ リフォーム市場の活性化 |
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金融市場動向
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