金融市場NOW

IMF世界経済見通し(2016年4月時点)

2016年04月18日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

世界経済の見通しを3四半期連続下方修正

  • 国際通貨基金(IMF)は4月12日に公表した最新の世界経済見通しで、2016年の世界全体の予想成長率を3.2%に引き下げました。新興国の景気減速で世界的に貿易や投資が鈍化するとの懸念から、前回(2016年1月時点)見通しから0.2ポイント下方修正しています。IMFが見通しを下方修正するのは3四半期連続となります。IMFは現状の世界経済の停滞を受け、成長を下支えするために主要各国が速やかに行動を起こす必要があると強調しています。
  • 日本については、個人消費の低迷から2016年の見通しを0.5%下方修正し、0.5%としました。更に2017年についても同年4月に消費税率が10%に引き上げられることを想定し、0.4%下方修正して0.1%のマイナス成長になると予想しました。主要国で唯一マイナス成長に転落すると見込まれており、当見通しは日本政府の今後の経済対策や消費増税を巡る議論に一石を投じる可能性もありそうです。
  • 2016年の先進国全体の成長率は1.9%、新興国全体は4.1%と見込み、何れも0.2%下方修正しました。また、同年の米国の成長率は2.4%、ユーロ圏は1.5%とし、何れも0.2%下方修正しています。
  • 同年の中国の成長率については、これまでに発表された政策措置等を踏まえて0.2%上方修正し、6.5%としました。主要国の中で唯一上方修正されています。インドは前回と同じ7.5%の成長となり、前年に続き中国を上回る状態が続くと予想されています。

表1:IMF世界経済見通し(前年比)

(2016年4月時点)

単位:%
*1 インドは年度ベース
*2 インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム
*3 オーストラリアの見通し公表は4月と10月のみ(2016年1月見通し無し)
出所:IMFデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
  2015年(前年比) 見通し(前年比) 前回(2016年1月時点)との比較
2016年 2017年 2016年 2017年
世界 3.1 3.2 3.5 -0.2 -0.1
先進国 1.9 1.9 2.0 -0.2 -0.1
日本 0.5 0.5 -0.1 -0.5 -0.4
米国 2.4 2.4 2.5 -0.2 -0.1
ユーロ圏 1.6 1.5 1.6 -0.2 -0.1
ドイツ 1.5 1.5 1.6 -0.2 -0.1
フランス 1.1 1.1 1.3 -0.2 -0.2
イタリア 0.8 1.0 1.1 -0.3 -0.1
スペイン 3.2 2.6 2.3 -0.1 0.0
イギリス 2.2 1.9 2.2 -0.3 0.0
カナダ 1.2 1.5 1.9 -0.2 -0.2
新興国 4.0 4.1 4.6 -0.2 -0.1
中国 6.9 6.5 6.2 0.2 0.2
インド *1 7.3 7.5 7.5 0.0 0.0
ASEAN5 *2 4.8 4.8 5.1 0.0 0.0
ブラジル -3.8 -3.8 0.0 -0.3 0.0
ロシア -3.7 -1.8 0.8 -0.8 -0.2
オーストラリア *3 2.5 2.5 3.0 - -

グラフ1:主要先進国の経済見通し(前年比)

主要先進国の経済見通し(前年比)グラフ
出所:IMFデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:主要新興国の経済見通し(前年比)

主要新興国の経済見通し(前年比)グラフ
※インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム
出所:IMFデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

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