金融市場NOW

原油価格の動向と今後の見通し

2016年02月29日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

原油価格(WTI先物価格)の動向

原油価格は足元、2014年半ばから約7割下落した水準でもみ合っています(グラフ1)。原油価格急落の主な要因として、新興国の景気減速による需要減、シェール革命(米国)に伴う供給増等が挙げられます(グラフ2)。

グラフ1:WTI先物価格

有効求人倍率と失業率推移グラフ
出所:ブルームバーグデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:主要原油生産国の生産量比較

主要原油生産国の生産量比較グラフ
出所:BP社資料を基にニッセイアセットマネジメントが作成

今後の見通し

足元の原油価格は本格的な上昇期に入る前の2005年以前の水準まで下落しており(グラフ1)、価格面での調整はかなり進んだものと考えます。今後更なる下落が生じる場合は、協調減産に向けた動きが活発化する可能性もあります。米国のリグ(石油掘削装置)稼働数減少(グラフ3)は供給調整につながりそうです。一方、米国における原油在庫は同価格が急落した2015年を1億バレル程度上回る水準で推移しており(グラフ4)、原油価格反発の重荷になりそうです。

当面の原油価格は、1バレル30米ドル近辺を中心に、協調減産に関する思惑等に左右され、値動きの激しい展開が続くものと考えます。

尚、IEA(国際エネルギー機関)は、2017年は需給(供給には在庫分含まず)がほぼ釣り合うものの、積み上がった在庫の影響等により、価格低迷は長期にわたるとの見通しを示しています(グラフ5)。

グラフ3:米国リグ稼働数

米国リグ稼働数グラフ
出所:ブルームバーグデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ4:米国原油在庫

米国原油在庫グラフ
出所:ブルームバーグデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ5:IEA原油需給見通し

IEA原油需給見通しグラフ
出所:IEAデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

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