金融市場NOW

IMF世界経済見通し(2016年1月時点)

2016年01月21日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

資源安等を背景に、世界経済の成長率見通しを下方修正

国際通貨基金(IMF)が1月19日に公表した最新の世界経済見通しの主な内容は、以下の通りです。

  • 2016年の世界経済成長率見通しを3.4%、17年を3.6%とし、15年10月時点の見通しから各々0.2%下方修正。17年は緩やかな回復を見込むものの、新興国経済の減速や資源安等が大きなリスク。
  • 先進国の経済成長率は、2016年、17年とも各0.1%、新興国は両年とも各0.2%下方修正。
  • 世界経済のけん引役として期待される米国の2016年の経済成長率は2.6%と、雇用の改善等により15年の2.5%より高まるものの、輸出の減速等を考慮し、前回見通しより0.2%下方修正。17年も0.2%下方修正。
  • 日本の2016年の経済成長率は1.0%と、15年の0.6%と比較して緩やかな回復を見込むものの、17年は消費増税の影響等により0.3%に減速。16年は前回見通しを据置き、17年は0.1%下方修正。
  • 中国、インドの経済成長率見通しは2016年、17年とも据置き。中国の成長率は両年とも、習政権が今後5年間の目標として掲げる6.5%程度の成長率を下回る。インドは15年に続き、16年、17年も中国を上回る。両国の成長率の差は、16年の1.2%から、17年は1.5%に拡大する。
  • 資源安や政局の混乱、物価上昇等を背景に、2016年、17年のブラジルの経済成長率を前回見通しより2%以上下方修正。17年は2年続いたマイナス成長から脱却。

表1:IMF世界経済見通し(前年比)

(2016年1月時点)

単位:%
※インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム
注:インドは年度ベース
出所:IMFデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
  推定値(前年比) 見通し(前年比) 前回(2015年10月時点)との比較
2015年 2016年 2017年 2016年 2017年
世界 3.1 3.4 3.6 -0.2 -0.2
先進国 1.9 2.1 2.1 -0.1 -0.1
日本 0.6 1.0 0.3 0.0 -0.1
米国 2.5 2.6 2.6 -0.2 -0.2
ユーロ圏 1.5 1.7 1.7 0.1 0.0
ドイツ 1.5 1.7 1.7 0.1 0.2
フランス 1.1 1.3 1.5 -0.2 -0.1
イタリア 0.8 1.3 1.2 0.0 0.0
スペイン 3.2 2.7 2.3 0.2 0.1
イギリス 2.2 2.2 2.2 0.0 0.0
カナダ 1.2 1.7 2.1 0.0 -0.3
新興国 4.0 4.3 4.7 -0.2 -0.2
中国 6.9 6.3 6.0 0.0 0.0
インド 7.3 7.5 7.5 0.0 0.0
ASEAN5(※) 4.7 4.8 5.1 -0.1 -0.2
ブラジル -3.8 -3.5 0.0 -2.5 -2.3
ロシア -3.7 -1.0 1.0 -0.4 0.0

グラフ1:主要先進国の経済見通し(前年比)

ユーロ圏消費者物価指数(前年同月比)推移
出所:IMFデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:主要新興国の経済見通し(前年比)

主要新興国の経済見通し(前年比)
出所:IMFデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

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