金融市場NOW
米FOMCと日銀金融政策決定会合結果
2015年11月05日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
FRB(米連邦準備制度理事会)10月利上げ見送り
FRBは10月28日までのFOMC(米連邦公開市場委員会)で、再び利上げを見送りました。ただ、声明では「次回会合での利上げが適切かどうか、雇用と物価を見極める」と「次回会合」(12月15~16日予定)と時期を特定して利上げの可能性を示唆しました。また、前回9月の声明で盛り込まれていた「最近の世界経済と国際金融情勢の動向は米経済を幾分抑制しそうだ」との文言も今回は削除されました。一部では、声明は利上げの大幅な先送り観測を強める市場をけん制したものであるとの見方もでているようです。時期が特定されたことで、「次回会合」までに発表される雇用統計等の経済指標への注目度は一段と高まるものと思われ、落ち着きを取り戻しつつあった新興国株式や通貨等の値動きが再び荒くなる可能性もあります。
日銀追加金融緩和見送り
日銀は10月30日の金融政策決定会合で、当面の金融政策の現状維持を決定し、追加の金融緩和を見送りました。また、政策目標に掲げる消費者物価指数(CPI)上昇率の2%達成時期を再び先送りし、「2016年度後半頃」とするとともに、同日公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、2015年度及び2016年度の実質GDP(国内総生産)成長率とCPI上昇率を下方修正しました。日銀は2013年4月に量的・質的金融緩和政策を導入した際に、2%の物価上昇を2年程度で実現できるとしていましたが、今回の先送りで目標達成までの期間は当初予定の2倍程度かかることになります。
一部では日銀が今回、追加金融緩和に踏み切るとの予想もありましたが、追加緩和見送りが公表された後の30日の市場では日経平均株価が2ヵ月ぶりに19,000円台を回復し、外為市場では一時1米ドル=121円台半ばまで円安が進みました。日銀はいずれ追加緩和に動くとの期待感が背景にあるようです。
中国等新興国景気の鈍化、消費増税後盛り上がりを欠く個人消費等を受けて、2015年7~9月期の実質GDP成長率が2四半期連続マイナスとなるとの民間予想が増えつつあります。今後、景気減速を連想させる経済指標の発表が重なるようなケースでは追加金融緩和観測が勢いを増す可能性もあります。
表1:物価上昇率2%の目標達成時期
見通し公表時点 | 達成時期 |
---|---|
2014年10月 | 2015年度を中心とする期間 |
2015年04月 | 2016年度前半頃 |
2015年07月 | 2016年度前半頃 |
2015年10月 | 2016年度後半頃 |
表2:経済・物価見通し(「展望リポート」)
対象年度 | 見通し公表時点 | 実質GDP成長率(%) | 消費者物価(%)※ |
---|---|---|---|
2015年度 | 2015年04月 | 2.0 | 0.8 |
2015年07月 | 1.7 | 0.7 | |
2015年10月 | 1.2 | 0.1 | |
2016年度 | 2015年04月 | 1.5 | 2.0 |
2015年07月 | 1.5 | 1.9 | |
2015年10月 | 1.4 | 1.4 |
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