金融市場NOW
米債務上限問題について
2015年10月30日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
米債務上限引き上げ関連法案が下院議会を通過
2016年度(15年10月~16年9月)、17年度(16年10月~17年9月)の予算と債務上限(国債発行枠)引上げの関連法案が28日の下院議会で可決されました。上院の採決も11月3日までに行われる予定です。
米国では議会が政府債務(借金)の上限(国債発行枠)を決めており、その上限を超えることはできません。借金が上限に達した場合はそのたびに議会の承認を得る必要があります。米財務省は、今年3月中旬に債務が上限の約18.1兆ドルに達したため、やりくりをしながら国債の発行余地を確保してきましたが、11月3日にはその枠も尽きると一部ではみられていました。
今回の議会審議では以下の決定が行われました。これにより、12月11日に迫った現在執行中の暫定予算の期限切れ問題も解決しました。
- 今年11月3日が事実上の期限とされてきた債務上限を、2016年11月の大統領選及び2017年1月の次期大統領就任期を含む2017年3月まで引き上げを認める。
- 歳出額を2016年度、2017年度合計で800億米ドル(約9.6兆円)増額する。
予算使途や歳出削減策等に関する民主党(与党)と共和党(野党)の財政運営上の対立は、2013年には米政府機関の一部閉鎖を生じさせ、米国経済や金融市場等の懸念材料となりました。
今回の債務上限引き上げに関しても、一時は共和党の抵抗等で交渉が暗礁に乗り上げ、最悪の場合は資金繰り難から米国が部分的な債務不履行に陥る可能性も指摘されていました。
関連法案が下院議会を通過したことで、次期大統領が就任する前後までは債務上限問題で市場が混乱するリスクは大きく後退したものと思われます。
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