金融市場NOW
安倍首相「新・三本の矢」を発表
2015年09月30日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
「新・三本の矢」とマーケットへの影響
安倍首相は9月24日、経済政策であるアベノミクスの推進に向け、「強い経済」「子育て支援」「社会保障」からなる「新・三本の矢」を発表しました。首相は、アベノミクスは第2ステージに入るとし、経済最優先の姿勢を表明しました。
従来の「三本の矢」で経済回復に重要な役割を果たしたとされる「大胆な金融政策」、道半ばとされる「成長戦略」に関する具体的な言及はありませんでした。「新・三本の矢」では「強い経済」の中に含まれているものと思われます。
経済重視の姿勢が改めて打ち出されたことで、経済指標や株式市場の動向等によっては追加の経済対策期待が高まる可能性もあります。
【第1の矢】希望を生み出す強い経済
その象徴として、国内総生産(GDP)を現在より約2割増の600兆円に増やす目標が掲げられています。達成時期は示されなかったものの、女性や高齢者の雇用拡大、地方創生を本格化して生産性革命を大胆に進めるとされています。
【第2の矢】夢を紡ぐ子育て支援
子育てにかかる経済的負担を軽くするための幼児教育の無償化や結婚支援等に取り組むことにより、現在1.4程度の合計特殊出生率(※)を1.8まで回復させる目標が掲げられています。
- 出産可能年齢(15~49歳)の女性の各年齢ごとの出生率を足し合わせ、一人の女性が生涯何人の子供を産むのかを推計したもの。
【第3の矢】安心につながる社会保障
家族らの介護を理由に退職せざるを得ない「介護離職」をゼロにする目標が掲げられています。また、特別養護老人ホーム等への入所待機者を減らすため介護施設の整備や介護人材の育成を進める考えが示されています。
図:アベノミクス、これまでの「三本の矢」とこれからの「新・三本の矢」
これまで | これから | ||
---|---|---|---|
項目 | 数値目標値等 | ||
第1の矢 | 大胆な金融政策 | 希望を生み出す強い経済 | 国内総生産(GDP)600兆円 |
第2の矢 | 機動的な財政出動 | 夢を紡ぐ子育て支援 | 合計特殊出生率1.8 |
第3の矢 | 成長戦略 | 安心につながる社会保障 | 介護離職ゼロ |
金融市場動向
関連記事
- 2017年01月24日号
- 【アナリストの眼】「働き方改革」=単純なコスト削減の図式では、中長期成長性を見落とす
- 2016年11月30日号
- 【金融市場動向】クールジャパン着々と進む、日本経済活性化へ期待
- 2016年10月25日号
- 【金融市場動向】国主導で「無電柱化」の進展を
- 2016年10月25日号
- 【アナリストの眼】コーポレートガバナンス改革の進展
- 2016年08月10日号
- 【金融市場動向】消費減少 育児世帯ではより深刻に
「金融市場動向」ご利用にあたっての留意点
当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。
【当資料に関する留意点】
- 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
- 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
- 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
- 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
- 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。