金融市場NOW

国際通貨基金(IMF)世界経済見通し(2015年7月時点)

2015年07月14日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

国際通貨基金(IMF)は7月9日に最新の世界経済見通しを公表しました。主な内容は以下の通りです。

世界全体

2015年の見通しを前回(2015年4月時点)(以下同じ)見通しから0.2ポイント引き下げ、3.3%に下方修正。北米を中心とした2015年第一四半期の経済活動の停滞が主要因。2016年は新興国で景気回復の動きが見込めること等から前回と同じ3.8%に据え置き。2016年の世界経済の成長率は2015年より高まる。

先進国・地域

  • 2015年の見通しを前回より0.3ポイント引き下げ、2.1%に下方修正。大部分の要因は北米の想定外の弱さにあるが、厳冬や港湾の閉鎖といった単発的なものや、石油業界の設備投資の削減が主な要因であり、一時的な後退である可能性が高い。労働市場の改善、緩和的な金融政策、力強さを増した住宅市場等、米国の消費と投資を加速させる要因に変化はない。
  • ユーロ圏は内需が回復しインフレ率が上昇を始める見通し等を踏まえ、イタリア、スペイン等を上方修正。尚、ギリシャについては緊縮財政案受け入れを巡る混乱がこれまでの予想と比べ経済活動にはるかに大きなダメージを与える可能性が高い。
  • 日本の2015年第一四半期の成長率は設備投資の回復に支えられ高かったが、実質賃金と消費の基調が想定より弱いこと等から2015年の見通しを下方修正。

新興市場及び途上国・地域

  • 石油等一次産品価格の下落、中国の安定成長路線への移行等により、2015年の成長率は4.2%(前回より0.1ポイント下方修正)と2014年より鈍化するものの、おおむね予想に沿った動き。
  • 2016年は、ロシアや一部の中東・北アフリカの国や地域の経済状況が改善することから4.7%まで回復する見込み。

見通しに係るリスク

先進国・地域での原油価格下落による経済の上振れリスク。混乱を引き起こすような資産価格の変動や金融市場の変動率の更なる上昇が下振れリスク。

表1:IMF世界経済見通し(前年比)

(単位:%)

*前回=2015年4月
**修正幅=ポイント
※ASEAN5ヵ国…インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム
(注)インドは年度ベース
出所:IMFデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
  2014年 実績 2015年 見通し 2016年 見通し 2015年 前回*からの 修正幅** 2016年 前回*からの 修正幅**
世界 3.4 3.3 3.8 -0.2 0.0
先進国 1.8 2.1 2.4 -0.3 0.0
日本 -0.1 0.8 1.2 -0.2 0.0
米国 2.4 2.5 3.0 -0.6 -0.1
ユーロ圏 0.8 1.5 1.7 0.0 0.1
ドイツ 1.6 1.6 1.7 0.0 0.0
フランス 0.2 1.2 1.5 0.0 0.0
イタリア -0.4 0.7 1.2 0.2 0.1
スペイン 1.4 3.1 2.5 0.6 0.5
英国 2.9 2.4 2.2 -0.3 -0.1
カナダ 2.4 1.5 2.1 -0.7 0.1
新興国 4.6 4.2 4.7 -0.1 0.0
中国 7.4 6.8 6.3 0.0 0.0
インド 7.3 7.5 7.5 0.0 0.0
ASEAN5ヵ国(※) 4.6 4.7 5.1 -0.5 -0.2
ブラジル 0.1 -1.5 0.7 -0.5 -0.3

グラフ1:主要先進国の経済見通し(前年比)

出所:IMFデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:主要新興国の経済見通し(前年比)

出所:IMFデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

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