金融市場NOW

国際通貨基金(IMF)の世界経済見通し(2015年1月)

2015年02月02日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

世界経済見通しは下方修正

国際通貨基金(IMF)は最新の世界経済見通しを先月発表しました。2015・16年の世界経済見通しをそれぞれ3.5%、3.7%と、昨年10月時点の見通しを各0.3%下方修正しました(表1)。

表1:IMFの世界経済見通し(実質国内総生産(GDP)成長率)

(単位:%)

※1 オーストラリアは、2014年10月のIMF世界見通しのデータ
※2 インドのデータはFY(会計年度)ベース
※3 ASEANは5カ国、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム
出所:IMFのデータより、ニッセイアセットマネジメントが作成
  2013年 2014年 2015年 見通し 2016年 見通し 2015年 (2014年10月 見通しとの差異) 2016年 (2014年10月 見通しとの差異)
世界 3.3 3.3 3.5 3.7 -0.3 -0.3
先進国 1.3 1.8 2.4 2.4 0.1 0.0
米国 2.2 2.4 3.6 3.3 0.5 0.3
ユーロ圏 -0.5 0.8 1.2 1.4 -0.2 -0.3
ドイツ 0.2 1.5 1.3 1.5 -0.2 -0.3
日本 1.6 0.1 0.6 0.8 -0.2 -0.1
オーストラリア※1 2.3 2.8 2.9 3.0 - -
新興国 4.7 4.4 4.3 4.7 -0.6 -0.5
アジア 6.6 6.5 6.4 6.2 -0.2 -0.3
中国 7.8 7.4 6.8 6.3 -0.3 -0.5
インド※2 5.0 5.8 6.3 6.5 -0.1 0.0
ASEAN-5※3 5.2 4.5 5.2 5.3 -0.2 -0.1
ロシア 1.3 0.6 -3.0 -1.0 -3.5 -2.5
ブラジル 2.5 0.1 0.3 1.5 -1.1 -0.7
メキシコ 1.4 2.1 3.2 3.5 -0.3 -0.3
南アフリカ 2.2 1.4 2.1 2.5 -0.2 -0.3
サウジアラビア 2.7 3.6 2.8 2.7 -1.6 -1.7
※IMFの資料を基に、ニッセイアセットマネジメントが作成

IMFは、今回の見通しの下方修正について、中国、ロシア、ユーロ圏、及び日本の見通しの再評価、並びに原油価格の急落による一部の主要な原油輸出国・地域の経済活動の弱まりによるものであるとしています。
見通しでは、原油価格の下落は、世界経済を押し上げる要因になるとしながらも、世界的な経済成長の鈍化の影響が、その効果と同等、あるいは上回るとしています。一方、原油輸出国や一部新興国にとっては経済成長の重しとなり、世界の金融市場(特に新興国)の基調や変動を不安定にする要因になるとしています。
今回の見通しでは多くの国・地域が下方修正されましたが、主要先進国では、予想を上回る回復がみられたとして唯一米国が上方修正されています。
世界経済全体の動向では、右の図の通り、マイナス要因の影響が、プラス要因の影響を上回ることが指摘されています。

主要国・地域で大きな経済成長の差

主要国・地域の経済見通しは、それぞれで大きく異なることが予想されています(グラフ1、2)。

グラフ1:主要国の2015年、経済成長見通し(2015年1月)

※オーストラリアは、2014年10月のIMF世界見通しのデータ
出所:IMFのデータより、ニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:経済成長見通しの改定(2015年1月と2014年10月の比較)

出所:IMFのデータより、ニッセイアセットマネジメントが作成

米国

主要国の中で、唯一上方修正。失業率はさらに改善し、米ドル高や原油安により、物価上昇圧力は一段と後退。金利は緩やかに上昇するものの、原油価格の下落や金融緩和政策が経済成長を支えると予想

ユーロ圏

投資需要が低調で、物価上昇率の低下が継続。原油価格やユーロの下落、更なる金融緩和、中立的な財政政策などが経済を支えると予想

日本

消費増税後、国内需要が伸び悩んだものの、追加の質的・量的金融緩和などの政策対応や原油安や円安などから緩やかな景気回復を予想

中国

主要な指標は減速を示しているが、当局は、急増した信用創造や不動産投資などの不安定なリスクを減らすことに注力し、経済の減速に政策対応はあまりとらないと予想

インド

原油価格の下落による交易条件の改善、政策による改革後の企業部門の回復や投資の増加などが、外需の弱まりを相殺すると予想

ロシア

原油価格の下落や地政学的緊張の増大の影響を受け、経済の減速を予想

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