金融市場NOW

2022年は“インフレの1年” 2023年は落ち着くのか?

2022年12月20日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

モノの価格は落ち着くも、サービス価格の高止まりが続く

  • 2022年はインフレに翻弄された1年。各国の物価は高止まりし、インフレ抑制のために急ピッチな金融引締めにより米国株は大幅に下落する場面も。
  • 2023年の相場を占う上でインフレが落ち着く時期や景気後退到来時の深刻度などがキーポイントに。

2022年はインフレに翻弄された1年

グラフ1:主要国のCPI

  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成

2022年は米国をはじめとした世界各国がインフレに翻弄された1年でした。米国の消費者物価指数(CPI)は、コロナ禍からの経済の急回復による供給網の混乱および人手不足などにより2021年から徐々に物価は上昇し、2022年1月には前年同期比+7.5%となりました。その後も上昇が続き、ウクライナ危機によるエネルギー価格高騰もあいまって6月には直近のピークとなる同+9.1%に達しました(グラフ1)。米国の物価は高止まりし、FOMC(米連邦公開市場委員会)は、インフレ抑制のため大幅な利上げを継続するなど、急ピッチで金融引締めがおこなわれました。9月には市場予想を上回るCPIの結果に、大幅な利上げは長期化するとの見方が強まり、米国株を始め世界各国の株価は大幅に下落しました。

サービス価格の上昇が高止まりの原因

グラフ2:モノ価格とサービス価格の推移

  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成

直近の米CPIの内訳をみてみると、指数全体の2割程度を占めるモノ(変動の大きい食品・エネルギーを除く)の価格は、3月にピークをつけ、その後は抑制傾向にあります(グラフ2)。一方で全体の6割程度を占めるサービス価格は上昇を続けており、指数を高止まりさせる要因になっていると考えられます。背景には、コロナ後の経済活動正常化において未だ人手不足が解消されていないことや、労働参加率がコロナ前の水準まで回復していないことなどが考えられます。

2023年インフレは落ち着くのか?

グラフ3:NY連銀調査の期待インフレ率

  • 出所:NY連銀のデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成

12月FOMCにおいて示された2023年のインフレ指標(個人消費支出価格指数)見通しは、前年同期比+3.1%と2022年(5.6%)から低下することが示されました。またNY連銀の11月調査によると、1年先の期待インフレ率は10月調査よりも低下しました(グラフ3)。 イエレン米財務長官も2023年末までにインフレ率は大幅に鈍化するとの見通しを示しており、遅くとも2023年中には、インフレ率は落ち着きを取り戻すとの見方が大勢を占めています。2023年の相場を占う上で、(1)インフレが落ち着く時期、(2)利上げ終了時期、(3)景気後退が到来するのか、(4)景気後退到来時の深刻度の4点が重要なポイントになると思われます。

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