金融市場NOW

接戦が続いた米中間選挙 一週間が経過し大勢判明

2022年11月17日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

共和党躍進ならず。民主党は事前の予想よりも善戦。

  • 中間選挙は下院では共和党が多数派を奪還したものの、事前の予想よりも僅差となる。接戦の選挙区が多く、大勢判明まで約一週間を要した。上院は民主党が多数派を維持。
  • 下院多数派を共和党に奪還され、バイデン政権の政策運営が注目される中、次期大統領選に向けた動きも。

下院は共和党が多数派を僅差で奪還

グラフ1:上下院勢力図(議席数)

上院 過半数:51(議員総数100)

  • ※議案などが可否同数となった場合は、上院議長を兼務する民主党ハリス副大統領が1票を投じる。

下院 過半数:218(議員総数435)

  • ◎上下院とも日本時間11月17日午後2時時点で各メディアによる当選確実報道に基く議席数
  • 出所:各種報道資料等をもとにニッセイアセットマネジメントが作成

8日投開票の米国中間選挙は大勢が判明しました。全議席改選の下院では共和党の獲得議席が過半数218に達し、多数派を獲得しました(グラフ1)。選挙前の各報道機関の予測では共和党が過半数を大きく上回り、民主党に大差をつけるとの見方が大勢を占めていましたが、民主党との差は僅差となりました。接戦の選挙区が多く、大勢が判明するまで約一週間を要しました。

上院は、約1/3の議席と補欠選など含め35議席が争われました。民主党は劣勢が予想される中、激戦州などで議席を獲得し(表1)、非改選の議員を含めた上院勢力図は、民主党50議席、共和党49議席となっています(グラフ1)。残る1議席はジョージア州の議席で州ルールにより得票率50%に達する候補者が出なかったため(表1)、決選投票が12月6日におこなわれます。民主党は現時点で50議席獲得ですが、議案などが可否同数の場合は、上院議長を兼務するハリス副大統領が投票権を持つことから、民主党の多数派維持が確定しました。

表1:上院選挙 接戦州の得票率

  • ジョージア州は過半数を獲得した候補者がいないため州ルールに則り決選投票
  • ※開票率 ネバダ州99%、アリゾナ州99%、ジョージア州99%
  • 出所:各種報道資料等をもとにニッセイアセットマネジメントが作成
民主党候補者 得票率 共和党候補者
ネバダ ◎コルテズマスト 48.9% 48.0% ラクソルト
アリゾナ ◎ケリー 51.4% 46.5% マスターズ
ジョージア ワーノック 49.4% 48.5% ウォーカー

共和党の大躍進ならず、民主党が善戦

中間選挙では大統領が所属する政党が、議席を減らすケースが過去に多くあります。インフレ高止まりにより、バイデン大統領の支持率が40%程度と低く、大統領への不信任から共和党は大幅に議席を伸ばすと予想されていました。共和党が想定よりも議席を伸ばせなかった理由として、妊娠中絶問題や議事堂襲撃問題への党としての態度、気候変動問題などに取り組む党の姿勢などが無党派層から敬遠されたとの声があります。2020年大統領選の結果を否定するトランプ前大統領の主張などに拒否反応を示した有権者の存在も要因としてあげられています。また、インフレは高止まりしているものの、直近の失業率は3%台と比較的低水準であり、多くの労働者が職を失っている状況ではないことから、経済政策が事前の想定より重要視されなかったとの見方もあります。

2024年大統領選に向けた動きも

共和党のトランプ氏は15日、2024年大統領選に出馬することを表明しました。しかし大統領選の行方を左右する州の1つとされるフロリダ州においては約6割の共和党員が出馬に反対しており、ウィスコンシン州などの激戦州でのトランプ氏の支持率はバイデン大統領よりも低いとされます。選挙結果の否定など極端な主張が有権者に敬遠されているとの見方があります。一方、民主党内でもバイデン大統領は2期目を務めるべきではないとの声が多くなっています。下院多数派を共和党に握られ、難航が予想されるバイデン大統領の政策運営に市場の注目が集まるものと思われます。

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