金融市場NOW

今後の利上げ休止局面到来で株価回復に期待

2022年10月13日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

2019年利上げ休止時は長期金利頭打ち後、米株は回復基調に

  • FRBは一定の景気減速を受け入れてでも金融引締め政策を継続する姿勢を示し、米長期金利は上昇。
  • 2019年の利上げ休止局面では、米長期金利頭打ち後に米株は回復。過去の例から景気減速の織り込みが進み、米長期金利が低下基調となれば企業業績への期待などから米株が回復基調となることも。

FRBは金融引締め政策を継続する姿勢

9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では3会合連続での0.75%大幅利上げが決定され、2022年末の政策金利見通しは4.4%、2023年末は4.6%と今後も利上げを継続する姿勢が示されました(表1)。この結果を受けて、米長期金利は一時3.9%台を付けるなど上昇(価格は下落)しました。高止まりする物価抑制のため、FRB(米連邦準備制度理事会)は一定の景気減速を受け入れてでも金融引締めを行う姿勢を示しており、米国を始め世界景気の減速が懸念されています。一般的に景気減速の織り込みが進むと、安全資産である債券市場に資金が流入し、金利は頭打ちとなり長期金利は低下(価格は上昇)する傾向があります。金利が景気減速を織り込み低下基調となれば、設備投資などが増加し企業業績が回復するとの期待から株価は回復に向かうとされます。

表1:FRBの経済見通し

  • ※実質GDP成長率は前年比。失業率の“+”は悪化を示す。
  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
  2022年 2023年 2024年
(差異) (差異) (差異)
実質GDP成長率 今回 9月 +0.2% ▲1.5 +1.2% ▲0.5 +1.7% ▲0.2
前回 6月 +1.7% - +1.7% - +1.9% -
失業率 今回 9月 3.8% +0.1 4.4% +0.5 4.4% +0.3
前回 6月 3.7% - 3.9% - 4.1% -
インフレ率 今回 9月 +5.4% +0.2 +2.8% +0.2 +2.3% +0.1
前回 6月 +5.2% - +2.6% - +2.2% -
政策金利 今回 9月 +4.4% +1.0 +4.6% +0.8 +3.9% +0.5
前回 6月 +3.4% - +3.8% - +3.4% -

2019年の利上げ休止後、米株は回復基調に

過去の例を見ると2015年12月利上げ開始後、2019年1月に利上げが休止されました。2018年の米中貿易摩擦激化などから、米長期金利は上昇、2018年4-6月期をピークに米国内総生産(GDP)は減速し、米中を始め世界景気の減速が懸念されました。FRBは景気刺激のため2019年6月に利下げを開始しました(グラフ1)。それに先立ち米長期金利は2018年11月をピークに、景気減速を織り込む形で低下傾向で推移しました。一方で米株は、利上げが休止された2019年初より回復基調となり、2020年2月まで約40%上昇しました(グラフ2)。

グラフ1:米政策金利と長期金利の推移

  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成

グラフ2:米長期金利と米株の推移

  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成

利上げ休止で金利頭打ちとなれば米株回復も

足元米株は金利の上昇で割高感が意識されやすいハイテク株を中心に調整が進んでいます。FRBは年内利上げを続ける方針を示していますが、2023年を通して0.2%(4.4%→4.6%)の利上げを見通しており、来年以降利上げペースの鈍化が想定されます(表1)。過去の例からみれば、2023年中の利上げ休止により米長期金利が頭打ちとなれば、過度なリスク回避姿勢の後退や企業業績への期待などから米株は回復基調に戻ることも想定されます。

金融市場動向一覧へ

「金融市場動向」ご利用にあたっての留意点

当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。

【当資料に関する留意点】

  • 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
  • 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
  • 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
  • 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。