金融市場NOW
米住居費 物価に与える影響大きく
2022年09月13日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
賃貸住宅への需要が増加、家賃の上昇が続く
- 住宅価格の高騰と住宅ローン金利の上昇にともない、住宅購入を断念し、賃貸を選択する人が増加。家賃の上昇が足元のインフレの高進に影響か。
- 米CPIに占める家賃の割合は大きく、粘着性がある家賃の性質から、インフレは長引く可能性も。
米住宅ローン金利は6.0%に迫る水準まで上昇
2022年7月の住宅販売件数は、新築が前年同月比-29.6%、中古が同-20.2%となりました(グラフ1)。
インフレの加速とFRBによる早期の金融引き締めへの懸念から、2021年初より米長期金利は上昇基調を強めました。2022年4月に11年ぶりに5.0%を超えた住宅ローン金利は、6月下旬には6.0%に迫る水準まで上昇しました(グラフ2)。
高騰が続いてきた住宅価格に加え、住宅ローン金利の上昇にともなう家計の返済負担の増加により、住宅購入を諦めざるを得なくなるケースが増えているとみられます。
一般に住宅販売件数の減少は住宅価格を押し下げ、インフレ抑制の効果があるものの、足元ではインフレの高止まりが続いています。背景には、賃貸住宅の家賃上昇があると思われます。
家賃の上昇が続く。インフレは長引く可能性も
住宅ローン金利の上昇により、住宅需要の高い若年層や初めて住宅を購入する人々などを中心に、住宅購入を断念し、賃貸を選択する人が増加しているようです。賃貸住宅への需要の高まりにともない、住宅賃料が上昇しています。
7月の米国の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比+8.5%と、6月の同9.1%から低下し、上昇の勢いにやや緩和の兆しがみられます。しかし、ガソリンなどのエネルギー価格の伸びが鈍化した一方で、家賃の伸びは続いています(グラフ3)。
米CPIに占める住居費(住宅ローンや家賃を含むコスト)の割合は約30%と、エネルギーの約9%と比べて大きく、加速する家賃等の高騰が、インフレに拍車をかけているとみられます。
物価上昇の要因の1つとなっていたエネルギー価格の高騰に落ち着きが見られたことから、インフレはピークアウトが近いとの見方もあるようです。しかし、一般に、景気の動向に遅行し、価格が変化しにくいという粘着性がある家賃の性質を鑑みた場合、インフレの高止まりは長引くことが予想されます。
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