金融市場NOW
世界的な金融引き締めを受けて、景気減速懸念が浮上
2022年06月24日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
インフレが落ち着けば、クーポン収入が期待できる債券需要が高まることも
- 世界的なインフレ圧力の高まりを受けて、多くの主要国・地域の中央銀行が金融引き締め政策に転換。世界的な金融引き締めを受けて、景気減速懸念も浮上。
- 景気減速懸念もあり、インフレが落ち着けば、クーポン収入が期待される債券への需要が高まる可能性も。
世界的に金融引き締め政策が優勢
ウクライナ侵攻の長期化にともなうエネルギー価格の高騰や物流網の混乱などの影響もあり、足元のインフレ率は世界的に高まっており(グラフ1)、政策金利引き上げに舵を切る中央銀行が増えています。6月に入ってから豪州、カナダ、米国、英国で利上げが実施されました。その他、スイスが約15年ぶりに利上げを実施しました(グラフ2)。また、これまでは利上げに積極的な姿勢を示していなかったECB(欧州中央銀行)も次回7月の会合で利上げを実施するとの方針を示しています。
金融引き締めを受けて長期金利は上昇基調
世界各国の中央銀行はインフレ抑制姿勢を強めているものの、インフレ圧力の高まりが続いており、金融引き締めペースが加速するとの懸念から各国の国債利回りは上昇(価格は下落)基調を強めています。2021年末から6月21日までの10年国債利回りの上昇幅は、米国が1.77%(1.51%⇒3.28%)、欧州(ドイツ)が1.95%(-0.18%⇒1.77%)と、急激な上昇に見舞われています(グラフ3)。
利上げ織り込みはやや行き過ぎとの声も
高止まりするインフレ率を受けて、市場の2022年末の政策金利見通しは米国が3.62%(現在1.5%)、欧州が1.17%(現在-0.5%)となっています(6月21日時点)。一方、一部の投資家は利上げの効果が考慮されておらず、やや利上げを織り込みすぎているとの声もあります。
16日には利上げは当分先とみられていたスイスが利上げを実施したことで、市場では世界各国が利上げを急ぎ、先行きの景気が減速するとの懸念からリスク回避姿勢が強まり、長期金利は一時のピークからは低下(価格は上昇)しています。足元では景気減速懸念が強まりつつあり、投資家がリスク資産を敬遠する姿勢がみえつつあることから、インフレが落ち着きさえすれば、クーポン収入が期待できる債券への需要が高まってくることも考えられます。
金融市場動向
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