金融市場NOW
ユーロが対米ドルで一時約9ヵ月ぶりの安値に
2021年08月26日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
米国の新型コロナウイルス感染状況よっては反発局面入りも
- ユーロが対ドルで下落傾向を続けている。8月19日には一時約9ヵ月ぶりの安値を記録した。
- 欧米の金融政策の方向性を巡る思惑等が背景にあるものと思われる。
- 米国の新型コロナウイルスの新規感染者数は足元増加傾向にある。FRBのテーパリング年内開始観測が後退し、ユーロが対ドルで反発局面入りすることも予想される。
(1)ユーロが対ドルで下落
外国為替市場でユーロが対ドルで下落傾向を続けています。足元ではやや回復しているものの、8月19日には一時約9カ月ぶりの安値を記録しました(グラフ1)。
(2)ユーロ下落の主な要因
i. 金融政策の方向性を巡る思惑
- 米国の2021年4~6月期の実質GDP(国内総生産)がコロナ禍前の2019年10~12月期水準を超えているのに対し、ユーロ圏はコロナ禍前を約3%下回っています。米国の7月のCPI(消費者物価)が前年同月比+5.4%と、FRB(米連邦準備制度理事会)が目標とする「平均2%」を大きく上回っているのに対し、ユーロ圏は同+2.2%と、ECB(欧州中央銀行)の目標である「2%」近辺に止まっています。
- 景気過熱懸念等を背景に、FRBがテーパリング(量的緩和の縮小)を年内に開始する一方、ECBは当面大規模な金融緩和を続けるとの見方が、ユーロ安の主な要因であると考えられます。
ii. ドイツの政局を巡る不透明感
- ユーロ圏最大の経済大国であるドイツでは9月に総選挙が予定されています。長年ドイツを率いてきたメルケル首相が引退を表明しており、次期政権の政策運営等、ドイツの政局を巡る不透明感もユーロ安に影響しているものと思われます。
(3)ユーロの今後の見通し
6月下旬頃にかけて1万人程度まで減少した米国の新型コロナウイルスの新規感染者数(7日間平均)は、8月23日時点では約15万人に急増しています。一方、ユーロ圏(主要4ヵ国合計)は8月初旬頃をピークに減少傾向となっています(グラフ2)。英IHSマークイットが8月23日発表した7月のPMI(購買担当者景気指数)(総合)は米国が55.4とユーロ圏の59.5を下回りました(グラフ3)。新型コロナウイルスの感染状況が影響しているものと思われます。
今後の感染状況によっては、米国のテーパリング年内開始観測が後退し、ユーロが対ドルで反発局面入りすることも考えられます。
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