金融市場NOW
米金利上昇 今後の米住宅市場の行方
2021年04月09日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
数百万人規模の雇用創出期待が住宅投資の追い風に
- 新型コロナ感染拡大による在宅勤務のための空間の確保を目的に、米国では住み替えを検討する人が増加。景気回復期待などによる金利上昇の影響で、足元の住宅販売件数は新築・中古ともに減少。
- コロナ禍での“新常識”で住宅投資は継続。数百万人規模の雇用創出期待も住宅投資の追い風に。
コロナ禍に伴う住宅ブームも転換を迎えるか
新型コロナウイルス感染拡大による在宅勤務・学習、ホームオフィスのための空間確保などを理由に、米国では住み替えやセカンドハウスの購入を考える人が増えているようです。大規模なロックダウン(都市封鎖)が解除され、経済活動の正常化に向け動き出した2020年5月以降、低金利を追い風に住宅販売件数は新築、中古ともに増加してきました。
バイデン政権による追加経済対策の発動や、ワクチン接種倍増計画で景気が早期に回復するとの期待から、足元の米長期金利は上昇基調を強めており、足元では1.7%近辺で推移しています(グラフ1)。住宅ローン金利は長期金利の上昇を背景に2021年2月中旬より上昇傾向にあり、金利上昇の影響が住宅販売にも現れているようです。2021年2月の住宅販売件数は、大寒波の影響もあり、新築・中古ともに大幅減少となりました(グラフ2)。
コロナ禍を背景とした“新常識”で住宅投資は継続
住宅販売件数の減少の一因とみられる米長期金利の上昇は、米国の経済正常化への期待の表れであると思われます。住宅ローン金利は足元やや上昇傾向にあるものの、依然歴史的な低水準にあり、今後、経済正常化とともに住宅投資のさらなる活況が期待されます。
また、コロナ禍で生まれた“リモートワーク”や“ソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保”という新常識から、都心から郊外への移転は継続するものとみられます。中古住宅在庫は過去最低水準で推移しており、住宅投資の需要の強さがうかがえます(グラフ3)。
バイデン大統領が今後8年間にわたる2兆ドル規模の『インフラ計画』を公表しました。気候変動対策や公共投資などのインフラ投資を通じ、数百万人規模の雇用創出が期待されていることも、今後の住宅投資の追い風となりそうです。
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