金融市場NOW
米長期金利が上昇する中でも好調な米国株
2021年02月26日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
追加経済対策による更なる景気刺激は景気を過熱させるとの見方も
- 金利高・円安ドル高へと相場の流れが変わる中でも米国株は上昇。
- 米長期金利の上昇が継続し、金融政策の正常化が意識されれば、米国株は調整局面入りすることも。
米長期金利上昇、円安ドル高が進む
米長期金利(10年国債利回り)は、今年に入り上昇し、2月25日には一時1.6%台を付けました。これは、世界的に新型コロナウイルスの感染が拡大することが懸念され、米国株が大幅に下落した昨年2月20日頃の水準に相当します。米長期金利は“コロナ前”の水準まで上昇したと言えそうです。1.9兆ドル規模の追加経済対策による国債増発観測や市場予想を上回る経済指標を受けた景気回復期待が米長期金利を押し上げていると思われます。
為替市場では、ワクチン普及による経済活動正常化期待を受けた米長期金利の上昇から、日米の利回り差が拡大(グラフ1)し、米ドルは対円で1ドル=106円台を付けるまで上昇しており、昨年末から4円近く円安ドル高が進みました。
それでも株価の上昇は続く
低金利環境の下、コロナ禍でも業績を伸ばすIT関連企業や医薬品関連企業が米国株相場をけん引し、強力な金融緩和政策により生じた過剰流動性が相場全体を押し上げてきました。円安ドル高、米長期金利上昇へと基調が変化する中でも、米国株は連日のように史上最高値を更新しました。
堅調な経済指標などから予想を上回る米景気回復が見込まれる中、これまでの景気刺激策に加え、大型の追加経済対策が実行されれば、景気過熱を招くとの声があります。FRB(米連邦準備制度理事会)パウエル議長は引き続き金融緩和政策の維持を強調し、一定程度のインフレ率上昇を容認してでも、雇用を重視する姿勢を示しています。イエレン財務長官も、雇用環境改善のため追加経済対策の必要性を訴えています。大型の追加経済対策の実行が景気過熱を招くとの懸念から期待インフレ率は上昇傾向にあります(グラフ2)。25日のナスダック総合指数は、期待インフレ率上昇を受けた長期金利上昇などが嫌気され、12日につけた史上最高値から7%程度下落しました(グラフ3)。市場では「金融緩和による過剰流動性」から「コロナ後の金融政策正常化」へと投資テーマが変わりつつあると思われます。米長期金利上昇が続き金融政策正常化が意識されることは、米国株の調整要因となることが想定されます。
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