金融市場NOW
相次ぐ 新型コロナ関連倒産
2021年02月18日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
中小企業を中心にさらなる資金繰りの悪化が懸念される
- 飲食などのサービス業を中心に、新型コロナ関連の企業倒産が1,000件を超えた。営業時間の短縮など感染防止のための制約が求められるサービス業は、当面厳しい状況が続くと予想される。
- 企業の資金繰りの厳しさを背景に、日銀による各種支援が拡充される可能性も。
新型コロナ関連の企業倒産が1,000件に
新型コロナウイルスに関連した企業の倒産が相次いでいます(グラフ1)。全国で累計1,000件(負債総額1,000万円未満の48社を含む)を超え、2020年2月26日に第1号案件が確認されてから、約1年で1,000件に到達しました。2021年2月は10日時点で67件判明しており、緊急事態宣言が再発令されてから倒産の発生ペースが加速しているようです。
業種別では、飲食などのサービス業の倒産が目立ちます。2020年4月に、政府が全国に緊急事態宣言を発令し、飲食店等へ休業や営業時間の短縮を要請したことや、在宅勤務の継続により、来店客数が大幅に減少したことが影響したものとみられます。
感染抑制策の影響で売上高は大幅減
2020年4月の緊急事態宣言発令による店舗休業の影響などから、サービス業の売上高は2020年4~6月期に前年同期比で大幅な減少となりました(グラフ2)。2020年通年の外食売上高は前年比15.5%減*と過去最大の落ち込みとなり、飲食サービス業の厳しさがうかがえます。年明けに2度目の緊急事態宣言が発令され、2月には10都府県の期限延長が決定しました。外出自粛により消費停滞が懸念される中、営業時間の短縮や入店制限などの感染防止のための制約が求められるサービス業は厳しい状況が続くことが予想されます。
- 日本フードサービス協会の調査。
日銀による各種支援が拡充される可能性も
実質無利子・無担保融資や持続化給付金などの政府支援や、社債やコマーシャルペーパー(CP)の購入を中心とした日銀の資金繰り支援により、企業の倒産件数は抑えられているとの声もあるようです。しかし、企業の資金繰りは厳しい状態が続いており(グラフ3)、緊急事態宣言の期限延長で、中小企業を中心に資金繰りがさらに悪化することも予想されます。日銀は2020年12月の金融政策決定会合において、資金繰り支援の期限を2021年9月末まで延長しました。黒田日銀総裁は、必要であればさらなる期限延長も検討するとしており、今後、日銀による各種支援が拡充される可能性もありそうです。
金融市場動向
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