金融市場NOW
米国議会 トランプ大統領を2度目の弾劾訴追へ
2021年01月15日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
議事堂乱入事件を扇動したと見なす
- 米国下院はトランプ大統領の弾劾訴追決議を可決。残り任期が数日に迫る中での訴追手続きは、2024年大統領選で返り咲きを狙うトランプ大統領の今後の動きを阻止する狙いか。
- 共和党の上院トップも大統領は弾劾に値すると認識しているとされ、今後の弾劾訴追の行方に注目が集まる。
下院が弾劾訴追決議案を可決
バイデン氏の大統領選での勝利を確定させる手続きの際に、多くのトランプ大統領支持者が連邦議会議事堂に乱入した事件を受けて、13日下院はトランプ大統領への弾劾訴追決議案を可決しました。死者も発生した議事堂乱入事件をトランプ大統領が扇動したものとみなし、「暴力をあおる重罪に関与した」ことを弾劾の理由としてあげています。今後上院で弾劾裁判が開かれ、議員の2/3が同意すれば大統領は免職となります。
ただし、弾劾裁判は時間を要するため、トランプ大統領の任期が残り数日(19日まで)と迫る中、手続きを進めるにはあまりにも時間がなく、弾劾訴追手続きは意味がないとの指摘もあります。裁判は2024年大統領選に立候補を目指すとされるトランプ氏の動きを止めることが目的であるようです。弾劾と共に公職不適格の決議を行うことで、公職への就任が制限されることになります。
共和党内にも弾劾を支持する動き
弾劾裁判では共和党からも15人以上の同意が必要となるため、弾劾による罷免の可能性は低いと見られています。しかし、下院共和党のナンバー3であるチェイニー議員を含む10議員が弾劾訴追に同意する票を投じた(4議員が棄権)(グラフ1)ほか、現地報道機関も、“上院共和党トップのマコネル議員は大統領が弾劾に値する罪を犯したと認識している”と報じています。共和党幹部による弾劾への姿勢が、共和党議員へどのような影響を与えるのか注目されています。
弾劾訴追とSNS銘柄の関連性
米国株式市場は、史上初となる在任中2度目の大統領への弾劾訴追を材料視していない模様です。大手SNS運営会社は、事件の発端となり、更なる暴力行為を扇動する危険性があると約8,000万人のフォロワーを持つトランプ大統領のアカウントを始め、数万の極右集団のアカウントを停止しました。
トランプ大統領の支持者など利用者がこれを受けて大幅に減少するとの懸念から運営会社の株価は下落しました。トランプ大統領はSNSを通じて積極的に情報発信を行ってきましたが、選挙結果を巡る発言に、運営会社から警告ラベル(真偽が疑われ誤解を招く可能性あり)を度々貼られてきました。他の大手SNS運営会社の株価も下落しました (グラフ2)。今回の事件を受けて、バイデン新政権はSNSの運営体制を課題と捉え、規制強化に動くことも想定されます。規制の内容次第ではSNS運営会社等は、利用者の減少や監視体制強化など相応のコスト負担が発生することも想定され、これまで米株高をけん引してきた一部IT関連銘柄が軟調に推移することも想定されます。
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