金融市場NOW
国内投資家の11月外債投資は約4年半ぶりの高水準
2020年12月15日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
年金を含む信託銀行が過去最大の買い越し
- 国内投資家は11月、外債を5.0兆円買い越し。買い越し額は約4年半ぶりの高水準。投資主体別では、年金を含む信託銀行が過去最大となる3.0兆円買い越し。
- 対象主要国・地域別では豪州債券の買い越しが目立つ。豪ドルの対円での上昇(円安・豪ドル高)要因となっている可能性も。
(1)11月の外債投資は約4年半ぶりの高水準
12月8日に財務省が発表した11月の「対外及び対内証券売買契約等の状況」によると、国内投資家の対外債券※投資(買入-売却)は+5.0兆円と、10月の+1.4兆円を大きく上回り、2016年7月(+5.4兆円)以来の高水準となりました。買い越しとなるのは6ヵ月連続です(グラフ1)。
12月に入っても国内投資家の買い越し基調は続いており、財務省の週次統計によると、12月5日までの1週間で+1.3兆円となっています。
- 償還までの期間が1年を超える米国等海外の中長期債
(2)年金を含む信託銀行の買い越し額が急増
対外債券投資の状況を投資主体別にみると、年金を含む信託銀行が+3.0兆円と10月の+1.1兆円から拡大し、過去最大の買い越しを記録しています。その他、銀行が+1.6兆円、投資信託が+0.2兆円、生保が-0.2兆円等となっています。生保は5ヵ月連続で売り越していますが、売り越し幅は9月をピークに縮小傾向となっています(グラフ2)。
尚、信託銀行は、11月の対外株式投資(買入-売却)についてはー2.5兆円と過去最大の売り越しを行っています。11月の世界株式(MSCIワールドインデックス、米ドルベース)は前月末から約13%上昇しており、年金がリバランス(資産配分の再調整)を行い、資金を株式から債券にシフトさせたことが影響しているものと思われます。
(3)豪州債券の買い越し続く
同日、財務省が発表した10月の国際収支統計の国別対外債券投資統計によると、国内投資家の主要国・地域別外債投資は、米国が+0.52兆円、アジアが+0.16兆円、豪州が+0.46兆円等となっています。豪州債券の買い越しは7カ月連続、また、年度初から10月までの累計では+2.81兆円(グラフ3)と、前年同期の+0.15兆円を大きく上回っています。豪ドルは年度初から11月末までに対円で16.2%上昇(円安・豪ドル高)していますが、国内投資家の豪州債券投資の活発化が影響している可能性もあります。
- +は買い越し、-は売り越しを示す
金融市場動向
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