金融市場NOW
堅調な消費により期待高まる米年末商戦
2020年12月07日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
外出制限により例年に増してネット通販の利用が増加
- 苦戦を強いられるものとみられていた2020年の年末商戦は、商戦の前倒しやネット通販の利用などにより順調なスタートを切った。
- 個人消費の堅調さが確認されれば、2020年10~12月期のGDPは予想を上回る可能性も。
苦戦が予想された年末商戦は順調なスタート
米国では通常、ブラックフライデー※から本格的に年末商戦がスタートします。年末商戦は米小売企業の年間売上高の30~40%を占めると言われており、米国のGDP(国内総生産)のおよそ7割を個人消費が占めていることから、米国景気の先行きを占ううえで非常に注目されています。米国内で感染者数が再び急増していることや、追加経済対策の発動の遅れなどから、2020年の年末商戦は苦戦を強いられるものとみられていましたが、商戦は順調なスタートを切ったようです。
- 11月第4木曜日の感謝祭の翌日。年末商戦が始まり多くの小売店が黒字になるため、このように呼ばれる。
年末商戦売上高は前年比で増加の見込み
全米小売業協会(NRF)は毎年、年末商戦の売上高予測を公表しています。2020年は序盤の山場となる感謝祭前後の4日間(24~27日)の小売売上高が前年同期比16%増となり、2020年の年末商戦全体の売上予想額も7,553~7,667億ドルと、前年比で3.6~5.2%増加するとの見通しを示しています(グラフ1)。感染拡大により今年はセールを10月から前倒しで始める企業が多かったことや、例年に増してネット通販の利用が増えると予想されているためです。なお、今年の1人当たりの平均予定消費額は997.8ドルで、昨年を下回るものの、直近10年間の平均消費額を上回っており、今年の年末商戦での消費予定額にさほど変化がないことがうかがえます(グラフ2)。
10~12月期GDPは市場予想を上回る期待も
2020年7~9月のGDP成長率(改定値)は前年同期比+33.1%と大幅上昇となったものの、足元の感染再拡大による経済活動の停滞などから、10~12月期は同+3%弱~6%程度に落ち込むとの見方もあります(グラフ3)。しかし、順調な幕開けとなった年末商戦で米国経済のけん引役である個人消費の堅調さが確認されれば、10~12月期のGDPは予想を上回る結果となりそうです。
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