金融市場NOW
2020年米大統領選(6)
バイデン氏支持率でトランプ大統領をリード
2020年05月25日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
経済活動再開による早期の景気回復で支持率の挽回を図りたい大統領
- 今秋に控える大統領選の直近調査では、民主党バイデン前副大統領が共和党トランプ大統領に支持率でリード。大統領は早期に経済活動を正常化し、景気回復を急ぎたいところだが感染第2波を警戒する声も。
- 景気のV字回復にはワクチン開発がカギを握り、トランプ再選はワクチン開発スピード次第か。
支持率でリードを許すトランプ大統領
今秋に控える大統領選は共和党トランプ大統領と民主党バイデン前副大統領の対決が実質的に確定しています。両者の直近支持率はバイデン氏が6ポイント程度リードしています。2016年の大統領選で、トランプ氏は事前予想で優勢だったクリントン氏を破り予想を覆す勝利を収めました。背景には過去の選挙データや支持率調査に基づいた事前予想では、1~2ポイント、激戦州では2~3ポイント程度、トランプ氏の得票予想が低く見積もられていたことがあったようです。
2018年の中間選挙では事前予想と選挙結果に大きな違いがなかったことから、各調査機関はトランプ氏(共和党)の得票予想を精緻に予測できるよう手法を改善したようです。バイデン氏とトランプ氏の支持率の差は、前回大統領選時より実態を正確に表したものであるとの見方が大勢を占めています。
全米すべての州で外出規制など緩和
19日までにすべての州で外出規制が緩和され、経済活動が再開されました。4-6月期の実質GDP(国内総生産)は年率換算で-40%程度と第二次世界大戦時以来の景気減速となり、失業率も15%程度に達する見通しとなっています。再選を目指すトランプ大統領は、自らの指導力をアピールする上で、経済活動再開による早期の景気回復を何としても成し遂げたいところだと思われます。
専門家は早すぎる外出規制緩和に警鐘も
外出制限緩和など経済活動再開は、与党共和党知事の州で全米でも早い時期(4月末)から開始されました。大統領の意向を受けての取り組みと思われます。一方で、政府新型コロナウイルス対策チームのファウチ博士からは、早期の外出制限の緩和は、感染第2波の到来を招き感染拡大をコントロールできなくなると、警告の声が上がっています。テキサス州では16日に最大の新規感染者数を記録するなど、感染第2波が懸念されます。
トランプ再選のカギはワクチン開発か
4月中旬、態度を明確にしていなかったオバマ前大統領はバイデン氏支持を表明し、トランプ政権の新型コロナウイルスへの政策対応を厳しく非難しました。また、これまで選挙資金の不足が懸念されたバイデン氏ですが、4月末時点で選挙資金は6,050万ドルに達し、トランプ大統領の選挙資金に匹敵する規模となりました。民主党はバイデン氏を中心に、万全な選挙体制が整いつつあります。
与党共和党にとっては、経済活動が再開され、感染第2波が警戒される状況下では、ワクチン開発が景気のV字回復の重要なカギを握っていると思われます。18日の米国株は新型コロナウイルス向けワクチンの臨床試験で良好な結果が確認されたことを好感し上昇しました。今後、ワクチン開発のスピードがトランプ再選可能性を高める重要な要素になるものと思われます。
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