金融市場NOW
GDP 翌四半期(2020年4~6月期)を底に回復へ
2020年05月19日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
新型コロナウイルス感染拡大により個人消費が再び低迷
- 2020年1~3月期のGDP(速報値)は、年率換算で-3.4%となり、2四半期連続のマイナス。
- 消費増税の影響で前四半期に大きく落ち込んだ内需は、新型コロナウイルス感染拡大によりさらに悪化。
- 翌四半期のGDPはさらなる落ち込みが見込まれるも、経済活動の再開により回復基調へ。
外需・内需ともにマイナスとなる
内閣府が5月18日に発表した2020年1~3月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比で-0.9%、年率換算では-3.4%となり、2四半期連続のマイナス成長となりました(グラフ1)。新型コロナウイルス感染拡大による世界的な経済活動の停滞を受け、外需(輸出など)、内需(個人消費、設備投資など)ともに大きな落ち込みとなりました。 政府は4月16日に緊急事態宣言の対象を全国に拡大し、さらに5月6日には緊急事態宣言を延長しました。緊急事態宣言は地方圏を中心に解除されており、経済活動の再開に期待が高まるものの、大都市圏では商業施設の営業自粛や外出自粛要請が続いており、これまでGDPをけん引してきた内需の本格的な回復には時間を要するものとみられます。
<表1:2020年1~3月期の実質GDP増減率(前期比)の内訳>
GDP | ▲0.9%(▲1.9%) |
民間最終消費支出 | ▲0.7%(▲2.9%) |
民間住宅 | ▲4.5%(▲2.5%) |
民間企業設備 | ▲0.5%(▲4.8%) |
民間在庫変動 | ▲0.0%(0.0%) |
政府最終消費支出 | 0.2%(0.1%) |
公的固定資本形成 | ▲0.4%(0.5%) |
財貨・サービスの輸出 | ▲6.0%(0.4%) |
財貨・サービスの輸入 | ▲4.9%(2.4%) |
個人消費などは前四半期からさらに落ち込む
項目別では、ほぼすべての項目においてマイナスとなりました。個人消費や企業の設備投資は、消費増税の影響を受け、前期比でマイナスとなった2019年10~12月期からさらなる落ち込みとなりました(表1)。個人消費は、年明け以降2月頃までは消費増税による落ち込みから回復基調が見られていましたが、3月は外出自粛により外食産業や小売業などで再び低迷したとみられます(グラフ2)。企業の設備投資は、需要の低迷から増産に備える機械投資などが控えられたため、前四半期からさらに落ち込みました。
2020年4~6月期GDPはマイナス幅が拡大か
4月上旬の政府による緊急事態宣言発令を受けた外出・営業自粛や、海外でのロックダウン(都市封鎖)による需要低迷の影響が4月および5月により鮮明に表れるとみられ、翌四半期のGDPは内需・外需ともにさらなる低下が見込まれます。しかし、国内では一部地域において緊急事態宣言が解除され、経済活動が再開しつつあることから、GDPは翌四半期を底に回復へ向かうものと予想します。
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