金融市場NOW
新型コロナウイルスの影響と今後の雇用情勢
2020年04月16日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
工場休業による解雇など製造業を中心に人材需要低下の可能性も
- 2020年2月の有効求人倍率は2ヵ月連続の低下。およそ3年ぶりの低水準となるも、なお高水準。今後は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響が雇用情勢にもより明確に表れ始めるか。
- 人手不足が続く非製造業は、業種間で人材需要の二極化が進む可能性も。
新型コロナウイルスの影響が雇用情勢に波及
2020年2月の有効求人倍率* (季節調整値)が前月比0.04ポイントの大幅低下の1.45倍となりました。2ヵ月連続の大幅下落でおよそ3年ぶりの低水準となったものの、なお高い水準となっています(グラフ1)。また、完全失業率や完全失業者数(季節調整値)は1月からほぼ横ばいで、現時点では比較的落ち着きがみられます。しかし、足元では地方の宿泊施設の倒産や、店舗や工場の一時休業にともなう解雇などが見られており、今後は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響が、雇用情勢により明確に表れ始めるとみられます。
新規求人数は製造業を中心に大幅に減少
景気後退の予兆に敏感に反応し、景気の先行き判断で重要とされる新規求人は、2月が前年度比マイナス13.5%と、2ヵ月連続で低下となりました(グラフ1)。製造業の求人は同マイナス24.7%と、主要産業のなかでも減少が目立ちました。2月の鉱工業生産は、海外向けの半導体メモリーなどが堅調であったことなどから前月比プラス0.4%となったものの、3月は新型コロナウイルスの影響を反映し大幅低下が予想されています(グラフ2)。
今後の非製造業の人材需要は業種間で二極化
3月の日銀短観の雇用人員判断では、引き続き人手不足が確認されました(グラフ3)。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて訪日外客数は大幅に減少していることや、政府の外出自粛要請などから今後は小売業や飲食業などのサービス業が人手を減らす動きに向かうとみられます。一方、オンラインショッピングや宅配サービス等の利用増加から、運輸業などの人材需要は急速に高まると考えられます。これまで総じて不足感が強かった非製造業の人材需要は、今後は業種ごとに二極化が強まると思われます。
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