金融市場NOW
工作機械受注 回復の兆し見えず
2020年03月02日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
新型肺炎の感染拡大懸念により受注額の反転には時間を要する
- 2020年1月の工作機械受注額は、前年同期比-35.6%の808億円となり、16ヵ月連続の減少。
- 米中貿易摩擦を受けた世界経済の不透明感の高まりなどから、企業が設備投資を控えたことが影響か。
- 新型肺炎の感染拡大や企業の設備投資抑制の継続などにより、工作機械受注の反転には時間を要するか。
2018年初に米中の貿易摩擦の火種がくすぶり始め、同7月に米国が対中制裁関税第1弾を発動して以降、工作機械※受注額は低迷を続け、現在も回復の兆しが見られていません。
2月20日に日本工作機械工業会が公表した工作機械受注額(確報値)によると、2020年1月の受注額は前年同期比-35.6%の808億円で、16ヵ月連続の減少となりました(グラフ1-1)。これは、およそ7年前のアベノミクスの開始時(2013年6月)と同程度の低水準です。内訳では、内需(国内向け)が同-36.7%で14ヵ月連続の減少、外需(輸出)が同-34.9%となり16ヵ月連続の減少となっています。外需の伸び率が前年同月比で-20%を下回るのは15ヵ月連続で(グラフ1-2)、米中貿易摩擦による世界経済の不透明感の高まりなどから、企業が設備投資を控えたことが影響したとみられます。
- 工作機械は、さまざまな機械製品を加工・製造するのに必要な機械であることから“マザーマシン(母なる機械)”とも呼ばれている。また、工作機械の受注動向は各産業の設備投資の動向をいち早く表すことから景気の先行指数とされ、景気を見る上で重要とされている指標の1つ。
特に、中国向けの輸出の落ち込みが目立ちます。外需のうち中国向けが占める割合は2017年1月時点の31.4%から2020年1月時点には21.0%まで低下しています。米中貿易協議が第一段階合意に至り、受注額の低迷に歯止めがかかるものとみられていましたが、新型肺炎の感染拡大から今後はさらなる落ち込みが予想されます。中国経済の影響を受けやすい機械セクターの2月28日時点の株価は、前週末比で-8.7%の大幅下落となりました。感染拡大防止のために在宅勤務が推進される中、企業が工場の稼働抑制などに動けば、設備稼働率は低迷するとみられ(グラフ2)、新規の設備投資を控える動きは継続しそうです。景気の先行指数とされる工作機械受注額の反転には時間を要するものとみられます。
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