金融市場NOW
2020年米大統領選(2)
非白人比率の高いネバダ州でサンダース氏圧勝
2020年02月25日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
サンダース氏 得票率が5割に迫る勢い
- 非白人比率が高いことから、重要視されていたネバダ州の予備選はサンダース氏が圧勝。しかし左派色の強すぎる同氏の政策には民主党内からも警戒する声が。
- 早い段階でサンダース氏支持で民主党がまとまれば、金融セクターを中心に米国株へマイナスの影響も。
サンダース氏 代議員累積獲得数でもトップに
22日米国民主党予備選は3州目となるネバダ州で投票が行われ、サンダース上院議員が50%に迫る得票率で圧勝しました。黒人有権者からの支持が厚く、巻き返しが予想されていたバイデン前副大統領が2位となりました。サンダース氏は代議員累積獲得数でもトップに立ち、重要イベントである3月3日のスーパーチューズデー(大票田であるカリフォルニア州を含む14州で予備選)に向けて弾みをつけました。
表1:ネバダ州予備選結果
候補者名 | 政策スタイル | 結果 | 代議員累計獲得数 (過半数1990人) |
|
---|---|---|---|---|
得票率 | 獲得代議員数 | |||
サンダース | 左派 | 46.8% | 22人 | 43人 |
バイデン | 中道派 | 20.2% | 7人 | 7人 |
ブティジェッジ | 中道派 | 14.3% | 3人 | 26人 |
ウォーレン | 左派 | 9.7% | 0人 | 8人 |
クロブチャー | 中道派 | 4.2% | 0人 | 7人 |
非白人比率の高い州での初めての選挙
ネバダ州の人種構成比率は非白人比率が約50%であり、白人比率の高かったこれまでの州と比べ、全米の人種構成比率(非白人比率約40%)に近くなっています。サンダース氏はヒスパニックや黒人有権者からの支持率が低いことが、予備選前には懸念されていましたが、45歳未満の若い世代を中心に幅広い支持を集めました。スーパーチューズデーからはブルームバーグ氏が新たに予備選に参加する予定ですが、サンダース氏がこのままトップを維持するのか注目されるところです。
次のサウスカロライナ州予備選(29日)には共和党支持者も参加可能となっています。一部の共和党保守派グループは民主党予備選に参加し、サンダース氏への投票を呼びかけています。サンダース氏を民主党候補にすることで、共和党保守派は「トランプ=資本主義者」対「サンダース=社会主義者」の構図を作り出そうとしていると思われます。有権者の反社会主義感情へ訴えかけることで、トランプ大統領の有利な状況に持ち込みたいとの思惑があるようです。
分裂が懸念される民主党
サンダース氏へ不支持を表明した党の支持母体である労働組合の活動を同氏の熱烈な支持者が妨害しました。組合側は同氏の左派的すぎる政策に対する懸念を不支持の理由としており、「左派」対「中道」の政策対立が浮き彫りとなっています。無党派層を中心に左派的すぎる政策には警戒感を示す傾向があることから、民主党内での同氏への支持拡大は、必ずしも米国民全体からの支持に繋がらないと見られています。オバマ前大統領も「一般的な米国民は現行制度を完全に壊すことを望んでいない」と発言し、左派的すぎる政策に警告を発しています。同氏の公約は、国営による国民皆保険制度導入や大手企業の一部国有化、金融取引への増税など、米国企業の業績にマイナスの影響を及ぼすような政策も含まれています。24日のNY株式市場では、同氏の圧勝を受けて、大手保険会社の株価が大幅に下落しました。民主党が早い段階でサンダース氏支持にまとまれば、米国株は政策リスクを織り込んで、金融セクターを中心に上値が重い展開となることが想定されます。
表2:主要候補者の主な公約
候補者名 | 主な政策 |
---|---|
サンダース |
|
ブティジェッジ |
|
クロブチャー |
|
ウォーレン |
|
バイデン |
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金融市場動向
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