金融市場NOW
2019年7~9月期実質GDP 大幅上方修正
2019年12月13日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
個人消費や民間企業設備投資などの内需が成長をけん引
- 2019年7~9月期の実質GDP改定値が、11月に発表された速報値から大幅に上方修正された。
- 民間企業設備投資の上方修正による寄与が大きい。人手不足を補う省力化投資などの活発化が要因か。
- 個人消費の低迷や工作機械受注額減少を背景に、10~12月期のGDPはマイナス成長に陥る可能性も。
内閣府が12月9日に発表した2019年7~9月期の実質国内総生産(GDP)改定値は、前期比でプラス0.4%、年率換算ではプラス1.8%となり、11月の速報値(前期比プラス0.1%、年率換算プラス0.2%)から上方修正されました(表1)。民間企業の設備投資を中心に幅広い内需項目が上方修正され、内需の堅調さがより際立つ結果となりました。
表1:内需を中心に速報値から上昇修正された
速報値 | 改定値 | |
---|---|---|
実質GDP | 0.1%【0.2%】 | 0.4%【1.8%】 |
民間最終消費支出 | 0.4% | 0.5% |
民間住宅 | 1.4% | 1.6% |
民間企業設備 | 0.9% | 1.8% |
民間在庫変動 | ▲0.3% | ▲0.2% |
政府最終消費支出 | 0.5% | 0.7% |
公的固定資本形成 | 0.8% | 0.9% |
財貨・サービスの輸出 | ▲0.7% | ▲0.6% |
財貨・サービスの輸入 | 0.2% | 0.3% |
7~9月期のGDP改定値で、速報値から最も上方修正の幅が大きかった民間企業の設備投資は、2日に財務省が公表した7~9月期の法人企業統計調査の結果を反映しています。同調査によると、非製造業を中心に人手不足を補うための省力化投資や研究開発投資が活発であったことなどを背景として、全規模・全産業の設備投資は前年同期比でプラス7.1%となりました(グラフ1)。引き続き人手不足を背景とした省力化投資の需要は高いとみられ、来期以降も設備投資の継続的な上昇が期待されます。
一方、日本工作機械工業会が10日に公表した2019年11月の受注額(速報値)は、前年同月比で大幅にマイナスとなりました(グラフ2)。前年同月比でマイナスとなるのは14ヵ月連続です。米中貿易摩擦の影響から、自動車関連を中心に米中向けの受注の落ち込みが大きく、企業が設備投資を控える動きが鮮明となりました。
これまでは内需が日本経済をけん引してきましたが、今後は消費増税前の駆け込み需要の反動減や台風19号の影響などを受け個人消費の低迷が予想されていることや工作機械受注額減少を背景に、2019年10~12月期のGDPはマイナス成長に陥る可能性が高いとみられます。
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