金融市場NOW
民主党候補者の政策を巡る有権者の反応
2019年12月03日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
ヘルスケアに紐づく経済政策に対する支持獲得が勝ち抜くポイントか
- 2020年大統領選に向けた民主党予備選が来年2月から開始予定。民主党主要候補者の政策はヘルスケアと経済政策に特色が現れる。左派色の強すぎる政策には批判の声も。
- 左派色の強い候補者の支持率は低下傾向にあり、予備選を通じた政策調整に注目が集まる。
民主党候補者の政策は反トランプ
年明け2月から開始される2020年大統領選予備選において民主党主要候補者の政策に注目が集まっているようです。主要候補者の政策を国民の関心が高い4項目(環境・経済・ヘルスケア・移民)で比較すると、移民問題においては不法移民に市民権獲得への門戸を開くことや、環境問題においてはパリ協定への復帰など、反トランプの姿勢という面で、どの候補者も概ね違いはありません。しかしヘルスケアと経済政策では相違が見られます。
ヘルスケア政策では、ウォーレン氏などの国民皆保険制度を完全国営で導入する政策とバイデン氏などオバマ政権時の政策をベースとした民間保険併用政策に分かれています。
表1:民主党主要候補者の主な政策
候補者名 | 政策スタイル | 主な政策 |
---|---|---|
バイデン (支持率1位) |
中道派 |
|
サンダース (支持率2位) |
左派 |
|
ウォーレン (支持率3位) |
左派 |
|
ブーテジェッジ (支持率4位) |
中道派 |
|
トランプ減税は富裕層や大企業に恩恵との声
国民皆保険制度を完全国営化とすれば、莫大な財源が必要となることが想定されます。左派色の強いウォーレン氏は、大企業に対する増税や富裕層へ資産税を検討し、(例として)10億ドルの資産に対しては年間6%の資産税を課すとする財源案などを公表しています。この政策によりビル・ゲイツ氏などの資産家は、35年程度で資産のほぼ全額を課税により失うとの報道も出ており、非倫理的であまりに左派的であるとして討論会の場で批判の声も出ています。ただし、これほど極端なものではないものの所得税や法人税の増税策は他の候補も検討しています。背景には、所得上位400世帯(富裕層)の平均実効税率が、下位半分の世帯の平均実効税率を下回っているとの試算結果を示す報道が出るなど、2017年のトランプ減税の恩恵が富裕層や大企業に偏っているとの見方があります。
勝敗のキーポイントはヘルスケアと経済か
ヘルスケア政策とそれに紐づく経済政策は民主党予備選勝敗のキーポイントになると思われます。支持率で2位、3位につけるサンダース氏、ウォーレン氏の経済政策はあまりにも左派的であり、大統領本選で国民の支持を得られないとの声が大勢を占めています。直近のサンダース氏、ウォーレン氏の支持率はやや低下傾向にあります。一方で中道的な政策を掲げるブーテジェッジ氏の支持率が上昇傾向にあり、2位以下は混戦の様相を呈しています(グラフ1)。予備選での候補者絞り込みのなかで、左派色の強い政策が調整されていくかに注目が集まりそうです。来年秋の大統領選に向けて民主党予備選や民主党の支持率の動向などに市場が反応する機会が増えていくものと思われます。
金融市場動向
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