金融市場NOW
米製造業景況感 悪化へ
2019年10月07日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
2009年6月以来、およそ10年ぶりの低水準に
- 米供給管理協会(ISM)が公表した2019年9月の製造業景況感指数は47.8となり、景気拡大・縮小の節目となる50を2ヵ月連続で下回る。
- 製造業景況感の悪化は、米中貿易摩擦の影響を受けた輸出の低迷が主な要因。
- 今後の米国経済の下支えには、個人消費を中心とした内需の拡大が焦点となる。
ISMが10月1日に公表した2019年9月の製造業景況感指数は47.8となり、2ヵ月連続で景気拡大・縮小の節目となる50を下回りました(グラフ1)。事前の市場予想では50を回復するものとみられていましたが、予想を下回り約10年ぶりの低水準となっています。2017年末から減速基調であった欧州製造業の景況感は、米中貿易摩擦の影響を受け悪化がさらに顕著となりましたが(グラフ2)、これまで相対的に堅調であった米国経済にもついに陰りが見え始めてきたようです。同指数は、米国景気の先行指標とされており、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策の判断を行う際に重要視している指標の1つと言われていることから、引き続き動向が注目されます。
製造業景況感の悪化は、米中貿易摩擦の影響などを受けた輸出の低迷が主な要因とみられます。米国が対中制裁関税第1弾を発動した2018年7月以降、米国の輸出は低迷基調となっています(グラフ3)。米中両国は、10月2週目に閣僚級貿易協議を行う予定であり、両国が歩み寄る姿勢が見えつつあるものの、米国は15日に追加関税をさらに5%上乗せする見込みであり、米中貿易摩擦の終息までには時間を要するものとみられます。
米中貿易摩擦の影響で外需に変調が見られているため、今後の米国経済の下支えには内需の拡大が焦点となりそうです。米国のGDP(国内総生産)のおよそ7割を占める個人消費は、小売売上高が小幅ながらも前年同月比で上昇しているなど堅調となっています。ただし、2017年末に成立したトランプ米政権による大型減税が一巡し、その効果が次第に剥落することが予想されるため、個人消費の動向については慎重に注視していく必要がありそうです。
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