金融市場NOW
実質GDP(4~6月期)改定値 下方修正へ
2019年09月12日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
製造業を中心に設備投資が鈍化
- 内閣府が発表した2019年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は、速報値から下方修正された。
- 法人企業統計調査において製造業を中心に民間企業の設備投資の伸びが鈍化したことが反映された。
- 米中貿易摩擦の激化懸念等により外需の伸びは見込みにくく、内需のさらなる拡大が重要となるか。
内閣府が9日9日に発表した2019年4~6月期の実質国内総生産(GDP)改定値は、前期比でプラス0.3%、年率換算でプラス1.3%となり(グラフ1)、速報値(前期比プラス0.4%、年率プラス1.8%)から下方修正されました。製造業を中心に民間企業の設備投資が速報の段階から下振れしたことが修正の主な要因とみられています。9月1日にトランプ米政権が対中制裁関税第4弾を発動し、中国も即座に報復関税を発動するなど米中貿易摩擦の長期化懸念がくすぶっていることから、引き続き世界経済の先行き不透明感は根強く、国内経済への影響を注視していく必要がありそうです。
<2019年4~6月期の実質GDP増減率(前期比)の内訳>
GDP | 0.3%(0.5%) |
---|---|
民間最終消費支出 | 0.6%(▲0.0%) |
民間住宅 | 0.1%(0.8%) |
民間企業設備 | 0.2%(▲0.2%) |
民間在庫変動 | ▲0.0%(0.1%) |
政府最終消費支出 | 1.2%(▲0.1%) |
公的固定資本形成 | 1.8%(1.5%) |
財貨・サービスの輸出 | ▲0.0%(▲2.0%) |
財貨・サービスの輸入 | 1.7%(▲4.3%) |
今回の改定では、9月2日に公表された法人企業統計調査において民間企業の設備投資の伸び(前年同期比)が鈍化したことなどが反映されました。特に、製造業は前年同期比マイナス6.9%と、2017年4~6月期以来2年ぶりにマイナスへ転じ(グラフ2)、米中貿易摩擦による中国経済の減速が、国内の製造業の設備投資を中心に影響を及ぼし始めていることが浮き彫りとなったようです。
設備投資の低迷を受け、公的需要と民間需要の合計である内需のGDPへの寄与度は速報値から0.1%下方修正となりプラス0.6%。輸出から輸入を引いた外需は速報値のマイナス0.3%から変わらずでした。年内に米国による対中制裁関税の発動が予定されており、中国の景気減速が見込まれることから対中輸出の落ち込みが予想されるため、当面は外需の伸びは見込みにくく、今後のGDPの成長には引き続き内需の拡大が重要になりそうです。
金融市場動向
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