金融市場NOW
訪日外国人旅行消費 地方がけん引
2019年07月02日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
“コト消費”が訪日外国人旅行者を誘致か
- 訪日外国人旅行者による地方部における消費額が、勢いを増しつつある。
- 近年、地方部を訪れる訪日外国人旅行者数が、三大都市圏のみを訪問する人数を上回っている。
- 関心の多様化により、地方部での体験を重視する“コト消費”への関心が高まりつつあることが要因か。
訪日外国人旅行者による地方部での消費額が、勢いを増しつつあります。
観光庁が6月21日に公表した2019年版の観光白書によれば、2018年の三大都市圏*1を除いた地方部の訪日外国人旅行者の消費額は、1兆362億円となり、2015年からおよそ58%の増加となりました(グラフ1)。訪日外国人旅行者の人数を訪問先別で見てみると、2012年時点では地方部を訪れる訪日外国人旅行者は、三大都市圏のみを訪れる人数を下回っていたのに対し、2015年、2018年は地方部を訪れる訪日外国人旅行者が三大都市圏のみを訪れる人数を上回っており、近年は、訪日外国人旅行者は三大都市圏のみならず、地方へと足を延ばしているようです(グラフ2)。
- 東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫の8都府県
地方部を訪れる訪日外国人旅行者数の増加とともに、地方部における消費額も増加しています。近年の地方部における消費額増加の背景として、訪日外国人旅行者の関心の多様化などにより、体験やふれあいなどを重視した“コト消費”への関心が高まりつつあるためだと考えられています。なかでもスキーやスノーボードなどの冬のスポーツや、温泉入浴の人気は高く、主に地方部において体験する“コト消費”が、訪日外国人旅行者の1人当たり消費単価を増加させているとみられています(グラフ3)。
訪日外国人旅行者の増加は、地方における消費拡大などさまざまな恩恵が受けられる一方で、混雑や観光マナー、言語対応などの課題が浮き彫りとなった面もあるようです。今後は課題の洗い出しを行うとともに、課題解決のための持続的な施策が求められることになりそうです。
金融市場動向
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