金融市場NOW
2018年の出生数 過去最少を更新
2019年06月14日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
出生率は3年連続低下 加速する人口減少
- 厚生労働省が公表した人口動態統計調査によると、出生数は3年連続の低下。過去最少を更新。
- 合計特殊出生率は1.42となり3年連続の低下。政府目標の1.80(希望出生率※)の達成には政策の見直しが必要か。
- 子どもを望む全ての人が、希望する人数の子どもを産んだと仮定したときの合計特殊出生率。
- 出生数減少の歯止めには、新卒採用と終身雇用が前提の日本のキャリア形成の見直しが急がれることとなるか。
厚生労働省が6月7日に公表した人口動態統計調査によると、2018年の出生数は91万8,397人となり、3年連続で過去最少を更新しました。また死亡数は136万2,482人で戦後最多となりました。死亡数から出生数を差し引いた自然減数は44万4,085人と初めて40万人を上回り、人口は減少傾向が続いています(グラフ1)。
1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数を示す合計特殊出生率は1.42となり、前年を0.01ポイント下回り、3年連続の低下となりました。安倍政権は2016年6月2日に閣議決定した『ニッポン一億総活躍プラン』において、希望出生率を1.80にする目標時期を2025年度とし、子育て支援として保育人材の確保や受け皿拡大を進める方針を示していますが、現時点では達成は難しいとみられ、今後は少子化対策の見直しや方針の転換が迫られることになりそうです(図1)。
出生数の減少が止まらない理由の1つとして、出生時年齢の高止まりが挙げられています。第1子出生時の母親の平均年齢は年々上昇しており、2016年では30.7歳と過去最高水準にあります。女性の社会進出の増加などにともない、主要先進諸国は日本と同様に第1子出生時の年齢は過去に比べて上昇しているものの、その中でも日本は高水準となっています(グラフ2)。一般的に出産・育児で一時的に休むことは、自己のキャリア形成に不利ととらえる女性が日本において多くなってきていると言われています。新卒採用と終身雇用が前提となっている日本のキャリア形成の見直しを行い、柔軟な働き方を選択できるよう今後は政府および企業の対応が急がれることとなりそうです。
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