金融市場NOW
欧州各国で緑の党躍進 高まる環境問題への意識
2019年06月05日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
欧州議会選では緑の党系会派が議席を増やす
- 欧州議会選挙は緑の党系会派(欧州緑グループ/欧州自由連盟:Greens/EFA)が躍進。
- ドイツでは第二党を獲得するなど、有権者の気候変動や環境問題への関心の高さが示される一方で、西欧諸国と比較し経済状況に格差が見られる東欧諸国では支持率は低下する。
欧州で30以上の緑の党系政党が結成される
緑の党系会派であるGreens/EFAは先に行われた欧州議会選挙において69議席(6月3日時点)を獲得しました。改選前52議席から上乗せしており、事前予想(欧州議会公表)57議席から上振れました。同会派の母体は1970年代に欧州数か国で誕生し、1984年に欧州政治舞台に登場しました。環境保護、平和、社会正義、公平なグローバル化や人権擁護などの観点から政治活動を行うとしています。一部の国では地域政党も同会派へ参加しています。
与党会派が過半数を割る中で存在感を増す
今回の選挙ではこれまで“大連立”を形成してきた親EU(欧州連合)中道左派右派の2会派だけでの過半数議席の獲得はできませんでした。与党会派の政権基盤が弱まったことから、同じく親EU会派であるGreens/EFAの存在感が高まることが想定され、今後の環境政策などのルール作りで一定の影響を及ぼすことも予想されます。
欧州有権者の環境保護意識の高まり
欧州の有権者の間では環境問題への意識が高まっており、気候変動と環境問題は移民問題に次ぐ高い関心を集めています (グラフ1)。 Greens/EFAは、ドイツにおいて今回選挙で第二党を獲得しており、他国においても概ね獲得票数を伸ばしています。とりわけドイツやフランスなどの西欧諸国での高い支持が目立っています。一方で東欧諸国の支持はそれほど高くなく、東欧諸国ではラトビアとリトアニアのみで議席獲得となりました。環境対策は短期間での効果が望めず、将来への投資の側面もあり現時点での“コスト増”への敬遠意識が東欧諸国での支持率の低さに繋がっているとの見方もあります。欧州景況感は悪化の傾向にあり(グラフ2) 、その要因としてドイツを中心とした欧州自動車産業の不振があげられています。規制汚染物質量などを測定する世界統一排出ガス・燃費試験法(WLTP)が車両型式認証に使用され、EUでは独自の排出ガス規制や旧式ディーゼル車の乗り入れ規制導入など環境規制の強化が続いています。環境規制の強化が公共の福祉に利する一方で、環境対応コストの増加が自動車メーカーの経営を圧迫するという側面もあります。欧州経済の減速が意識される中、Greens/EFAおよびEU各会派が環境政策と経済成長のバランスをどう保っていくのかにも注目が集まるところです。
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