金融市場NOW
首都圏マンション発売戸数 27年ぶりの低迷に
2019年05月27日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
販売価格の高止まりと販売会社による在庫圧縮の優先が影響か
- 2019年4月の首都圏の新築マンション発売戸数は、前年同月比39.3%減の1,421戸となる。
- 資材費と人件費の高騰にともなう価格の高止まりや、販売会社による在庫圧縮の優先が減少の要因か。
- 契約率は再び60%台に低下。販売価格の引き下げは難しく、マンション市況には厳しい環境が継続か。
5月21日に不動産経済研究所が公表したマンション市場動向調査によれば、2019年4月の首都圏(1都3県:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)の新築マンション発売戸数は、前年同月比39.3%減の1,421戸となりました(グラフ1)。減少は4ヵ月連続となっており、4月単月としてはバブル崩壊後である1992年の1,365戸以来の低水準となりました。資材費と人件費の高騰にともなう価格の高止まりや、昨今の販売不振により販売会社が在庫圧縮を優先させたことが要因とみられます。また、4月下旬からの10連休で契約に訪れる消費者が少ないと見込み、販売時期をずらしたことも響いたようです。実際に消費者が契約した割合を示す月間契約率は、3月は販売の好不調の節目とされる70%を12ヵ月ぶりに回復したものの、4月は64.3%となり、再び60%台に低下しました(グラフ2)。
1戸当たりの平均販売価格は前年同月比348万円上昇の5,895万円となり4ヵ月連続で上昇、1坪(約3.3平方メートル)あたりの価格も同16.4%上昇の93.1万円となりました。地域別でみると、東京都区部、神奈川県や千葉県では2桁の上昇となったものの、東京都下では1桁台の小幅上昇、埼玉県は下落となりました。即日完売となったのは東京都と千葉県の2物件(12戸)で、いずれも最寄駅から徒歩圏であったり、都心へのアクセスが良い立地となっています。
2019年10月に消費増税を控える中で、駆け込み購入がほとんどみられないのは、都心部を中心にマンション価格の高騰は継続しており、一般の給与所得者には手が届きにくい水準となっていることが要因の1つとして考えられます。販売各社は契約率維持のため、販売時期をずらして数期に分けて販売していたため、契約済みの消費者への配慮から大幅に販売価格を下げることも難しく、マンション市況には厳しい環境が続きそうです。
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