金融市場NOW
工作機械受注の減速が鮮明に
2019年04月15日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
前年割れは6ヵ月連続
- 2019年3月の工作機械受注(速報ベース)は6ヵ月連続の前年割れ。中国需要やスマートフォン向け需要の減少が影響か。
- 中国の景気対策実施や次世代通信規格「5G」(第5世代)対応によるスマートフォン向け需要の回復期待等を背景に、受注の底入れは近いとの見方も。
工作機械とは
工作機械とは、金属等の材料を加工し、必要な形状に作り上げる機械を指します。旋盤や研削盤等多くの種類があります。色々な機械製品を加工・製造するのに必要な機械であることから「マザーマシン」(母なる機械)とも呼ばれます。工作機械の受注動向はあらゆる産業の設備投資の動きを早く表わすものであることから、景気先行指標の一つとされています。
工作機械受注動向
その工作機械受注の減速が鮮明になっています。日本工作機械工業会が4月10日に発表した2019年3月の受注額(速報ベース)は1,307億円と、前年同月比で28.5%減少しました。前年割れは6ヵ月連続です。内訳では、内需、外需(輸出)ともに28.5%の減少で、外需は5ヵ月連続で20%を超える減少率を記録しています(グラフ1)。米中貿易摩擦を背景とする中国需要の減少や、スマートフォン及び自動車向けの需要減が影響しているようです。
同時に発表された2018年度(18年4月~19年3月)の受注額(速報ベース)は1兆6,892億円と前年度に比べて5.1%減少しました。内需が7,034億円と2.3%増加したものの、外需は9,857億円と9.8%減少しました。外需の不振が全体を押し下げました(グラフ2)。
外需では中国向けの減少が目立つ
外需では中国向けの減少が続いています。既発表済み2019年2月までのデータによると、米中貿易摩擦が過熱化し始めた2018年8月頃を境に前年同月比で減少ペースが速まっています。2018年11月以降は50%を超えて減少しており、外需に占めるシェアも2019年2月時点では20%程度まで低下しています(グラフ3)。
工作機械受注の底入れは近いとの見方も
3月の全国人民代表大会(国会に相当)で、李首相は合計約2兆元(約33兆円)の減税やインフラ投資等の景気対策を発表しました。当対策の実施により中国向けの減少に歯止めがかかるとの期待感が高まっているようです。また、次世代通信規格「5G」(第5世代)対応が本格化すれば、スマートフォン向け需要が回復する可能性もあります。今後発表される中国の経済指標等を受けて、工作機械受注の底入れ期待が高まることも考えられます。
金融市場動向
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