金融市場NOW
家計の金融資産減少 10年ぶり
2019年03月27日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
2018年末の株安が影響
- 2018年末の家計金融資産残高が前年末比1.3%減の1,830兆円となる。減少となるのは10年ぶり。
- 家計が保有する株式等や投資信託の評価額減が要因か。現金・預金の残高は過去最高を更新。
- 『人生100年時代』に向けた資産形成の必要性の認識は高まるも、さらなる浸透のためには課題も多い。
日本銀行が3月19日に発表した資金循環統計(速報)によれば、2018年末の家計金融資産残高は2017年末比1.3%減の1,830兆円となりました(グラフ1)。前年末の水準を割り込むのはリーマンショックがあった2008年以来、10年ぶりとなっています。2018年末に世界的に株価が急落したことで、家計が保有する株式や投資信託の評価額が目減りしたことが要因とみられています。また、株式や投資信託の購入額も低迷しているようです。その一方で、現金・預金の残高は過去最高を更新しており、家計の金融資産の過半を占めていることから、“貯蓄から投資へ”の流れの浸透には時間がかかりそうです。
主な資産の内訳を見てみると、保有の過半を占める現金・預金は前年比(以下同様)1.6%増の984兆円となり過去最高を更新する一方、時価評価額減少の影響を受けた『株式等』は同15.3%減の175兆円、投資信託は同12.4%減の67兆円となりました。構成比を見ると引き続き『現金・預金』の比率が53.8%ともっとも高く、次いで『保険・年金・定型保証』が約28.6%、『株式等』が約9.5%となっています(グラフ2)。
『人生100年時代』の到来に向け、長生きに備えた株式や投資信託などのリスク性資産を組み込んだ資産形成が必要であるという認識が広まりつつあるようです。政府はNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの税制優遇措置を講じることで、高齢層のみならず若年層にも投資の推進を行ってはいるものの、さらなる浸透には投資啓蒙の充実など課題が多そうです。
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