金融市場NOW
IMF世界経済見通し(2019年1月時点)
2019年01月24日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
中国景気の減速が世界に波及か
国際通貨基金(IMF)は1月21日に公表した最新の世界経済見通しにおいて、2019年の成長率予測を3.5%とし、前回見通しから0.2ポイント引き下げました。米国の保護主義的な政策に端を発した貿易摩擦の激化に加え、中国の景気減速が世界的に波及することにより産油国や欧州などの成長率も鈍化する見込みであり、『世界的に経済成長が急速に減速するリスクが増した』との認識を示し、警鐘を鳴らしています。以下、要約です。
- 米国は、前回2018年10月の改定で見通しを引き下げており、今回は2019年、2020年ともに見通しを据え置き。米国経済の拡大は継続しているという認識は示したものの、財政刺激策の終了にともなって減速するとした。
- ユーロ圏の2019年の成長率は0.3ポイント引き下げ1.6%とし、2020年は据え置き。自動車生産の減少などによりけん引役であるドイツの成長率が鈍化したことが影響するとした。
- 日本は2019年、2020年ともに0.2ポイント上方修正。消費税増税の影響が懸念されるものの、安倍政権が検討する需要喚起策により、一時的に緩和できると見込んだ。
- 中国は、2018年、2019年ともに前回見通しから据え置き。しかし、貿易摩擦が継続すれば成長の減速が予想よりも急速に起こる可能性があるとした。
表:IMF世界経済見通し(前年比)
2019年1月時点
2018年(前年比) | 見通し(前年比) | 前回(2018年10月時点)との比較 | |||
2019年 | 2020年 | 2019年 | 2020年 | ||
世界 | 3.7 | 3.5 | 3.6 | -0.2 | -0.1 |
先進国 | 2.3 | 2.0 | 1.7 | -0.1 | 0.0 |
日本 | 0.9 | 1.1 | 0.5 | 0.2 | 0.2 |
米国 | 2.9 | 2.5 | 1.8 | 0.0 | 0.0 |
ユーロ圏 | 1.8 | 1.6 | 1.7 | -0.3 | 0.0 |
ドイツ | 1.5 | 1.3 | 1.6 | -0.6 | 0.0 |
フランス | 1.5 | 1.5 | 1.6 | -0.1 | 0.0 |
イタリア | 1.0 | 0.6 | 0.9 | -0.4 | 0.0 |
スペイン | 2.5 | 2.2 | 1.9 | 0.0 | 0.0 |
英国 | 1.4 | 1.5 | 1.6 | 0.0 | 0.1 |
カナダ | 2.1 | 1.9 | 1.9 | -0.1 | 0.1 |
新興国 | 4.6 | 4.5 | 4.9 | -0.2 | 0.0 |
中国 | 6.6 | 6.2 | 6.2 | 0.0 | 0.0 |
インド *1 | 7.3 | 7.5 | 7.7 | 0.1 | 0.0 |
ASEAN5 *2 | 5.2 | 5.1 | 5.2 | -0.1 | 0.0 |
ブラジル | 1.3 | 2.5 | 2.2 | 0.1 | -0.1 |
ロシア | 1.7 | 1.6 | 1.7 | -0.2 | -0.1 |
オーストラリア | 3.2 | 2.8 | - | -0.3 | - |
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