金融市場NOW
対中貿易赤字 拡大へ
2018年11月15日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
制裁関税前の駆け込み需要が要因か
- 米商務省が発表した9月の貿易統計によると、対中国の貿易赤字は374億4,500万ドルとなった。
- トランプ米政権の中国製品に対する制裁関税第3弾の発動による駆け込み需要が要因か。
- 対中貿易赤字の改善がみられなければ、今後、米国は中国に対しさらに圧力を強める可能性も。
11月2日に米商務省が発表した9月の貿易統計(通関ベース、季節調整済み、以下同様)によると、対中国の貿易赤字は前月に比べて8.8%拡大し374億4,500万ドルとなりました(グラフ1)。
米国内の需要が引き続き底堅く、輸入額が過去最高水準となっているなか、トランプ米政権が9月24日に消費財など合計で約2,000億ドル分の中国製品に対して10%の追加関税を課す第3弾となる制裁関税を発動したことにより、駆け込み需要が膨らんだことも大きな要因とみられています。トランプ米政権は、保護主義的な通商政策を進めているにもかかわらず、貿易赤字は拡大を続けています。具体的な効果が見えないなか、貿易赤字の削減を求めている中国に対し不満がいっそう募りそうです。
米国全体の貿易赤字額は、9月単月で762億5,100万ドルとなり、前月比1.2%の拡大となりました(グラフ2)。品目別でみると、輸出は、石油製品などの産業資材や資本財が4ヵ月ぶりにプラスに転じるなど全体をけん引し増加する一方で、輸入は資本財や商品などが幅広く増え、金額の大きなものを中心に5ヵ月連続で前月を上回りました。
米国の制裁関税に対し中国が報復関税を課した7月以降、米国の主力輸出品である大豆の輸出は落ち込んでいます(グラフ3)。対中貿易赤字の改善がみられなければ、トランプ米大統領は中国に対しさらに圧力を強める可能性もありそうです。
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