金融市場NOW
外国人労働者の積極登用に向けて
2018年10月18日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
2019年4月より受け入れ拡大をめざす
- 人手不足が深刻な問題となっている中、外国人労働者の存在感が増しつつある。
- 2019年4月の新たな就労資格の創設に向け、政府は外国人労働者に対する日本語教育の予算を計上。
- 外国人労働者の受け入れに際し、労働時間や待遇面など課題の解決が急がれる。
国内において人手不足が深刻な問題となっている中、外国人労働者の存在感が増しつつあります。
厚生労働省の調べによると2017年10月末時点の外国人労働者数は127万8,670人となり、5年連続の増加となり、企業の届け出を義務化した2007年以降では過去最高となりました(グラフ)。近年、外国人を活用したいという企業も増えつつあるものの、日本での受け入れ体制整備は遅れているというのが現状です。政府は6月、2019年4月に特に人手不足が深刻である建設や農業、介護などを中心に、最長5年の新たな就労資格を設けることをめざし、外国人労働者の受け入れに大きく舵をとりました。
政府は、受け入れ拡大に向けまず早急に取り組むべきとされていた外国人労働者に対する“日本語教育”について、2019年度予算の概算要求として22億円を計上しました。現在、公的および民間の日本語試験は多数存在するものの、それらは大学の講義や学生生活に関する内容が中心となっているため、就労を希望する外国人の日本語能力を判定しにくいと、以前から指摘がありました。今後実施される予定である試験は、国際交流基金などが試験を作成し、日常会話やスケジュール確認、電話応対など仕事で必要とする語彙や表現の習得具合を確認するものであり、就業希望者は来日前に受験することが可能となっています。
少子高齢化の進行により、若手の人材確保が一層困難になることが予想され、労働力確保のために今後はより多くの企業で外国人労働者の受け入れが必要となることが見込まれます。政府は10月12日に関係閣僚会議を開催し、法務省が入国管理法などの改正案の骨子と新たな在留資格の創設を示しました(表)。今後は、外国人労働者の受け入れ拡大に向け、長時間労働や社会保障等の待遇面、継続的に働いてもらうためのインセンティブなど、課題の解決が急がれそうです。
表:外国人労働者の受け入れ枠を広げていく
新たな在留資格の主なポイント |
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一定の日本語能力や技能を保有する外国人の就労を認める |
熟練した技能を保有する人材は、在留期間の更新や家族の帯同を可能にする |
難民認定制度や不法就労などの悪用がある国からの受け入れを制限する |
人材不足が解消された分野については、受け入れを停止・中止する |
報酬を日本人と同等またはそれ以上にし、外国人の生活を支援する |
出国在留管理庁を設置することで在留管理を徹底する |
金融市場動向
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