金融市場NOW
7月米国消費者物価は市場の予想どおり
2018年09月06日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
個人消費支出価格指数は6年ぶり高水準の2.3%上昇
- 個人消費支出(PCE)価格指数が市場の予想通り前年同月比で2.3%上昇。個人消費支出も前月比で0.4%増加。米国民の底堅い消費行動を確認。
- 景況感を示す経済指標は強弱まちまちなことから、過熱しすぎない景気と堅調な物価上昇から金融当局は穏やかな利上げサイクルを継続し、投資家にとっては“心地よい”経済環境が継続。
8月30日に公表されたFRB(米連邦準備制度理事会)が重視する7月のPCE価格指数が2.3%上昇(前年同月比)、食品・エネルギーを除いたコア指数も2.0%上昇(同)と目標とする2%に到達しました。市場の予想通りの結果で約6年ぶりの高水準となりました。
詳細を見ると、個人消費支出が0.4%増加(前月比)でサービスへの支出が増加しています。消費支出の増加傾向は3月以降継続し、米国民の底堅い消費行動が確認されました。一方で耐久消費財への支出は減少傾向にあります。7月新車販売台数の減少等が背景にあると想定されます。
8月31日に公表された景況感を表す8月ミシガン大学消費者態度指数(確報値)は96.2と7ヵ月ぶりの水準に低下しました。詳細を見ると現在景況感指数の低下が目立っており、物価や金利の上昇懸念が背景にあると思われます。1年先のインフレ率見通しは前月より0.1ポイント上昇し3.0%と約4年ぶりの高さとなりました。先に公表されたコンファレンスボードの消費者信頼感指数が約18年ぶりの高水準となったこととは対照的な結果となりました。
9月25・26日に開催予定のFOMC(連邦公開市場委員会)では今年3回目の利上げが想定されており、7月のPCE価格指数は高い伸びとなったものの、目標近辺で安定的に上昇しており、また、足元景気の過熱感も強くないことから、穏やかな利上げサイクルを継続できるものと思われます。市場の関心は声明文からの「緩和的」という文言の削除や再投資により保有している債券の圧縮の影響などに移りつつあります。景況感を示す指数は指数によって強弱が入り混じる結果となっており、投資家は景気の過熱しすぎを懸念することなく投資できる“適温経済”の継続を感じとっているものと思われます。米国の貿易政策の行方や米国金利上昇による影響などで新興国通貨が下落し、世界経済への影響が拡大していくことには注意が必要ですが、当面米国株にとっては概ね良好な投資環境が続くものと思われます。
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